2022年10月6日、センシンロボティクスは、同社が提供するドローンを活用した送電設備点検アプリケーション「POWER GRID Check」が、沖縄電力に試行導入されたことを発表した。

 沖縄電力では電力設備点検の高度化、効率化を目指しており、その一環として架空送電設備点検の工数を減らし関係者間での情報共有をスムーズに行いたいという要望があり、今回の試験利用に至った。

 ドローンを活用することで、搭上作業での支持物点検、架渉線やスペーサーなどの点検業務に対し、作業負荷の軽減やコストの削減、安全性の向上が期待されている。一方、手動飛行による点検手法は属人化やアナログ作業による品質のばらつきが課題として挙げられている。
 また、現状の架空送電設備点検における業務フローでは、各協力会社との情報共有や大量の撮影データからの報告書作成に時間を要することが課題となっている。

 POWER GRID Checkは、架空送電設備の保守業務をドローンを活用して行う送電設備点検アプリケーションで、鉄塔(支持物、がいし)と送電線(架空地線、電力線)を一括で自動点検できることが特徴だ。一般的に市販されている汎用的な機体・カメラを用いるため、メーカーや機種に依存しない柔軟な運用が可能となる。ドローンに関する特別な知識を持たない作業員でも点検業務を実施できるほか、自動航行により均一したデータ取得が可能で、従来の目視点検と同等の品質データを収集する。

 また、点検管理機能はデータをクラウド上で一元管理するため、設備状況の把握が容易となる。別部署や関係会社との情報共有がスムーズになり、報告書の手間を省く仕組みの構築、修繕工事の迅速な実施が可能となる。

 POWER GRID Checkを導入した沖縄電力は、従来は手動で一定の間隔を保ったままたるみに沿って飛行させることが難しかったが、アプリを活用しドローンを自律的に制御させることで簡単に点検作業を実施できたという声や、データ管理機能を活用することで今までExcelベースでやり取りしていたデータがWebで完結できることから、今後業務フローを見直し、各ステップに必要な報告書作成作業を効率的に行えるような仕組みを構築していきたいといった声を寄せている。また、POWER GRID Checkと沖縄電力のシステムなどの情報連携による修繕工事高度化の実現にも期待を示した。