セイノーホールディングス(以下、セイノーHD)、エアロネクスト、NEXT DELIVERYは、3月22日に開催された新スマート物流推進協議会 準備事務局 主催の「デジタル田園都市国家構想を実現する新スマート物流シンポジウム」に登壇し、新スマート物流の先進事例としてSkyHubの取り組みを紹介した。

 同シンポジウムには、300名近くの自治体関係者がオンラインで参加。第一部では、地域物流の課題解決に取り組む北海道上士幌町、山梨県小菅村、茨城県境町、福井県敦賀市、北海道東川町の5自治体による広域連携の発表と、より発展的な展開を目指した新スマート物流推進協議会の発足が発表された。

 同協議会では、政府が推進するデジタル田園都市国家構想の「地方の魅力をそのままに、都市に負けない利便性と可能性を」を実現するため、自治体を中心に官民・業界内外の垣根を超えたオープンな議論と情報共有を行い、新スマート物流のより早い社会実装を推進していく。

広域連携協定締結と新スマート物流推進協議会の発足を発表した5自治体の首長

 第二部では、参議院議員、無人航空機普及・利用推進議員連盟(ドローン議連)幹事長 鶴保庸介氏の登壇後、地域物流のこれからを考えるための先進事例紹介が行われた。その中で、3月17日に量産開始を発表したACSLとエアロネクスト共同開発の量産型物流専用ドローン「AirTruck」が初披露され、さらにセイノーHD執行役員・NEXT DELIVERY取締役の河合秀治氏とエアロネクスト代表取締役CEO・NEXT DELIVERY代表取締役の田路圭輔氏が登壇して、SkyHubについて紹介を行った。そして最後に国土交通省 大臣官房公共交通・物流政策審議官 寺田吉道氏とセイノーHDの河合秀治氏により「ヒトの流れ、モノの流れが地域社会を豊かにするーテクノロジーとグリーンで生み出す地域物流の未来」と題したテーマ討論が行われた。

 なお同シンポジウムの様子は、新スマート物流推進協議会のウェブサイトでアーカイブ視聴が可能。

▼新スマート物流推進協議会
https://smartlogistics.jp/

量産型物流専用ドローン「AirTruck」と、ACSL代表取締役社長 兼 COO 鷲谷聡之氏(左)、エアロネクスト代表取締役CEO 田路圭輔氏(右)。
SkyHubを紹介する田路圭輔氏(左)と、セイノーHD執行役員 河合秀治氏(右)
テーマ討論に登壇する河合秀治氏(左)と、国土交通省 大臣官房公共交通・物流政策審議官 寺田吉道氏(右)

 エアロネクストとセイノーHDが共同で開発・展開するSkyHubは、既存物流とドローン物流をつなぎこんだ新スマート物流の仕組みである。オープンプラットフォームかつ標準化した物流インフラで、既存物流網とドローン物流の接続点に荷物を集積・配送するドローンデポ、ドローンの離発着地点にはドローンスタンドを設置する。ドローンデポを拠点に、SkyHubアプリをベースにした買物・配達代行、オンデマンド配送、医薬品配送、異なる物流会社の荷物を一括して配送する共同配送などのサービスを提供する。

 SkyHubの導入は、無人化、無在庫化を促進し、ラストワンマイルの配送効率の改善という物流面でのメリットだけでなく、新たな物流インフラの導入であり、人口減少、少子高齢化による労働者不足、特定過疎地の交通問題、医療問題、災害対策、物流弱者対策等、地域における社会課題の解決に貢献するとしている。また住民の利便性や生活クオリティの向上による住民やコミュニティの満足度を引き上げ、地域活性化を推進するうえでも有意義だという。

 SkyHubはすでに社会実装のフェーズに入っており、今回のシンポジウムで広域連携を発表した上士幌町、小菅村、敦賀市、そして千葉県勝浦市、山口県美祢市、新潟県阿賀町で社会実装を進めている。