2022年6月20日、KDDIスマートドローンとエアロネクストは、自治体における地域配送を効率化・省人化するドローン配送パッケージ「AirTruck Starter Pack」の提供を、2022年8月から開始すると発表した。

 物流専用ドローン「AirTruck」と、ドローンの遠隔制御・長距離飛行を可能にするモバイル通信・運航管理システムを備えた「スマートドローンツールズ」によって構成されており、ドローン配送を行うにあたって高い経済性と安全性を持つ。

 近年、全国的な人口の減少や少子高齢化、過疎化の影響により、食料品等の日常の買い物が困難な状況に置かれる人々が増加している。こうした課題を解決するため、ドローンをはじめとしたデジタル技術を活用する取り組みが期待されている。

ドローン配送パッケージ「AirTruck Starter Pack」

 AirTruckは、ペイロード5㎏に対応した日本発の量産型物流専用ドローンで、空力特性を最適化する独自の機体構造設計技術「4D GRAVITY」により、荷物の揺れを抑えつつ安定した飛行を実現している。
 エアロネクストが開発した4D GRAVITYは、飛行中の姿勢、状態、動作によらないモーターの回転数の均一化や、機体の形状・構造に基づく揚力・抗力・機体重心のコントロールなどにより空力特性を最適化することで、安定性・効率性・機動性といった産業用ドローンの基本性能や、物流専用ドローンの運搬性能を向上させる。

 KDDIスマートドローンが開発したスマートドローンツールズは、ドローンの遠隔自律飛行に必要な基本ツールをまとめた「4G LTEパッケージ」に、利用シーンに合った「オプション」を組み合わせることのできるサービス。4G LTEパッケージは、全国どこからでもドローンの遠隔操作・映像のリアルタイム共有を可能とする「運航管理システム」、撮影データを管理する「クラウド」、データ使い放題の「モバイル通信」の3つのツールをまとめて提供している。

物流専用ドローン「AirTruck」

 AirTruckの空力最適化による高い飛行性能や、荷物の着脱が容易な構造など、物流に特化したユーザビリティによりスムーズな運用が可能。また、スマートドローンツールズのモバイル通信・運航管理システムにより、遠隔で長距離の自律飛行や制御が行えるため、運航体制の省人化にもつながる。

 機体構造設計技術4D GRAVITYにより荷物の揺れを抑え、配送物の損傷リスクを低減させるほか、安定した飛行を実現。モバイル通信により常時飛行中の機体情報を取得でき、緊急時には遠隔からのマニュアル飛行に変更することもできる。同パッケージで提供する機体には、KDDIスマートドローンが開発した、ドローンに最適化された専用通信モジュール「Corewing 01」を搭載し、安定した通信を行う。

ドローン専用通信モジュール「Corewing 01」

 エアロネクストとセイノーホールディングスが共同で展開する、ドローン配送を陸路の配送と組み合わせた新スマート物流「SkyHub」との連携も可能で、2022年3月に新潟県阿賀町において実施したSkyHub構築に向けた実証実験では、同パッケージを試験的に使用した。