2022年6月10日、有機米デザインは、農機メーカーの井関農機より2億円の資金調達を完了したことを発表した。来年度から全国でアイガモロボを販売するため、連携して準備を進めるとしている。

 有機米デザインは、来年度のアイガモロボ販売を見据え、販売、量産体制などを強化するため資金調達(シリーズA)を実施している。井関農機とは、有機栽培をはじめとした環境負荷の低い農業に向けた農機開発や地方都市との連携などの面で共通点が多く、2020年3月から協業の可能性を検討し、2020年6月より実証試験などでも連携、2021年6月には開発と販売の両面で業務提携を行っていた。
 同社は今回調達した資金で、量産へ向けた生産体制構築を進めていく。井関農機が持つ全国の販売とメンテナンスのネットワークを活用し、アイガモロボの普及を図る。

 アイガモロボの開発は、元日産自動車のエンジニア2人を中心に、有機米栽培における大きな課題の一つである除草手間を極小化することを目的として、2012年に始まった。その後、ヤマガタデザインに開発の母体が順次移行され、実用化に向けて2019年に有機米デザインを設立、東京農工大学と共同研究契約を締結した。

 アイガモロボは代掻き後の水田を自律航行して、水中を撹拌し泥を巻き上げることで光を遮るとともに、土の物理性に影響を及ぼし、水面下にある雑草の生長を抑制。除草剤を使わず雑草が生えにくい状態をつくることで、除草にかかる労力を大幅に削減する。これまでの実験では、一定条件においてアイガモロボによる抑草効果を確認しており、現在は量産化に向けた技術課題の解決と品質向上に取り組んでいるという。今年度は条件の異なる33都府県の圃場にて、量産へ向けた実証実験を210台体制で実施している。

アイガモロボのプロトタイプ(ヤマガタデザインYouTubeチャンネル)