2022年3月23日、テラドローンは、シリーズBラウンドで総額80億円の資金調達を実施したことを発表した。三井物産、SBIインベストメント、東急不動産HD、九州電力送配電、西華産業等に加え、既存投資家であるベンチャーラボインベストメントから追加投資を受けている。

 加えて、海外の交通・都市開発事業への日本企業の参入を支援する国土交通省傘下の官民ファンド海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)より、同社の関係会社Unifly N.V.へ共同出資枠を確保した。

今回の資金調達先

 テラドローンは今回調達した資金を活用し、安全で効率的な空の移動を支える空のプラットフォーム運航管理技術の開発、各事業成長資金、同活動を実現するための採用活動への投資を行い、同社が掲げる「空から、世界を進化させる」というミッションに向けて、空の次世代インフラを整備していくとしている。

資金使途

 テラドローンは、世界各地域でドローンや空飛ぶクルマ等のエアモビリティにおけるハード・ソフト・サービスと、事業横断的な開発およびソリューションを提供している。エアモビリティを活用し、石油ガス、化学、建設業界等における現場作業のデジタル化や、遠隔地や被災地における物流の効率化等、産業のDX(デジタル・トランスフォーメーション)化を進めている。

 ドローンや空飛ぶクルマの社会実装において基盤となるエアモビリティの運航管理分野では、Uniflyの筆頭株主となり世界8か国で空の運航管理プラットフォームを構築。国内では大阪府の公募に対し、三井物産、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、朝日航洋と共同で「エアモビリティ統合運航管理プラットフォーム事業」に採択されている。

 同社は創業から4期目で黒字化し、CAGR87%(5年平均)、売上営業利益ベースで毎年増収増益となっている。

直近の事業ハイライト

投資家コメント

海外交通・都市開発事業支援機構 代表取締役社長 武貞 達彦氏

 この度、国内外でドローン関連事業において実績を積み上げているTerra Droneを支援し、共にUniflyへ出資することで、ドローン・航空機等の安全且つ効率的な運航に寄与するUTM整備事業へ参画することとなりました。当社は日本の民間企業が海外のインフラ事業に投資する際の協働パートナーとなる官民ファンドであり、将来的なドローン活用機会の増加が見込まれる中で、海外の航空管制機関や空港・港湾等でのドローンの運航管理に対してTerra Drone及びUniflyのUTM技術が活かされるようなグローバル展開を後押ししていきたいと考えています。

SBIインベストメント 投資部 次長 河村 暁氏

 テラドローン社は、失敗を糧にして成功するまで最後までやり続ける優秀な経営陣・執行役員メンバー等が揃っております。また、国内外の複数大手企業との取組みを通じて横展開できるような再現性のあるコア技術を構築している世界でも唯一無二のソフトウェア特化型ドローンベンチャーであります。ドローン技術はIndustry4.0における技術革新の一つと言われており、同社が世界で活躍するベンチャーになることを期待しております。

東急不動産 都市事業ユニット都市事業本部 執行役員本部長 鮫島 泰洋氏

 テラドローン社の技術により、まちの新しい可能性が開かれるものと期待しております。

 当社は、人々の快適性・利便性の向上を企図したスマートシティ開発を進めており、自社の経営資源と外部パートナーのノウハウ・技術を組み合わせて新たな価値を創造すべく、革新的なベンチャー企業との連携を推進してまいりました。今回テラドローン社とのパートナーシップを構築し、次世代のまちづくりを共に実現してまいります。

九州電力送配電 代表取締役社長 廣渡 健氏

 人口減少が進展する中、労働環境の改善は喫緊の課題であり、ドローンの活用は送配電設備点検の大幅な省力化・効率化の実現に必要不可欠と考えています。

 当社はこれまで、産業用ドローンに関する幅広い技術を有するテラドローン社さまと共同で送配電設備の点検自動化に関する技術開発に取り組んできており、今回の業務提携を通して、その取り組みがより一層加速されることを期待しています。

 また、今後、目視外飛行に関する制度整備と関連技術の進展によりドローンの社会実装が大きく進展すると見込まれる中で、当社が培ってきた技術や保有資産などを活用し、テラドローン社さまと新たなサービス創出に取り組み、九州地域をはじめとした社会課題の解決、地域社会の発展に貢献して参りたいと考えています。

西華産業 代表取締役社長 櫻井 昭彦氏

 当社の主要な事業基盤である電力、鉄鋼、石油、化学などの製造現場においては、設備の老朽化や熟練技術者の減少が進む一方で、生産性の向上やメンテナンス費用の削減が求められており、新たな保守・保安業務体制の構築が課題となっております。Terra Drone株式会社のドローンによるプラントおよびインフラ設備の点検サービスは、コストの削減、作業効率の向上、安全性の確保などのメリットを提供し、当社のお客様の課題解決に貢献することができるものと考えております。この度の出資並びにUTドローンによる点検サービスに関する国内総代理店契約の締結を通じて、Terra Drone株式会社との協力関係をより一層強固なものとし、保安管理の高度化を図る「スマート保安」分野でのドローン活用の取り組みを加速し、製造現場での保守・保安に関する当社事業の進化を図って参ります。

ベンチャーラボインベストメント 常務取締役 山中 大慈氏

 Terra Drone社が世界で勝てるベンチャーであることを評価しており、追加出資をいたしました。徳重社長以下に権限移譲が進む中、Terra Drone社がチャレンジするドローン及び空飛ぶクルマ版航空管制システム(UTM)が今後グローバル市場で拡大していくことを期待して、本ラウンドも出資させて頂きました。更なる成長のため、引き続き全力でサポートさせていただきます。