2021年12月23日、テラドローンは、グループ会社であるオランダのドローン点検技術開発会社Terra Inspectioneeringの株式を100%取得し、完全子会社化したことを発表した。

 Terra Inspectioneeringは、非破壊検査向けの超音波検査機能を搭載したUTドローンの開発および、石油、ガス系貯蔵タンクの点検サービスを提供している。同社はテラドローンが2019年7月に出資した後、RoNik Inspectioneering B.Vから社名を変更している。

出所:https://www.youtube.com/watch?v=lITirAEhcNE&t=38s(Terra Inspectioneering)

 Terra Inspectioneeringは欧州の大手石油、ガス会社を中心に累計500件以上のプロジェクトを実施しており、日本国内でも煙突、焼却炉、ボイラー等の内部点検の実績を重ねている。
 同社の板厚検査で使用する機体は特許を取得しており、接触触媒(カプラントジェル)のディスペンサーを搭載し、飛行中でも探触子にカプラントジェルの供給が可能なため、従来の手法よりも効率的に検査を進めることができる。

 非破壊で測定できる超音波による板厚検査は、従来、高所作業に必要な仮設足場の組み立てや撤去にかかる時間を削減できる。これにより検査期間を40〜60%短縮し、点検コストカット、検査中の施設稼働停止による機会損失の削減を実現する。

 点検作業におけるドローンの活用は、時間やコストの削減、作業員の安全性を確保できることから、近年、国内外で注目を集めている。特に人口減少と高齢化が進む日本では、橋梁やダムなどの社会インフラの点検作業員不足やノウハウの継承が懸念されており、ドローンによる板厚検査のニーズが高まっている。

 テラドローンは、Terra Inspectioneeringの完全子会社化を機に、国内外の点検事業における社会的課題の解決と、ドローン市場での競合優位性の向上を進めるとしている。