2022年3月3日、ジェイテクトは、ロボデックスが開発中の水素燃料電池ドローン次世代機に、同社の高耐熱リチウムイオンキャパシタと補助電源システムが搭載されることを発表した。

 キャパシタとは二次電池に分類される蓄電デバイスのことで、電気の出入り(放電・充電)が非常に早く、出力密度に優れ、繰り返し充放電による性能劣化も少なく寿命が長いといった特長がある。

 水素燃料電池では難しいとされる大出力供給、電力変動吸収を担い、ドローンの運動性能を飛躍的に高めると期待されている。

 ロボデックスでは水素燃料電池ドローンに関する経済産業大臣特別認可、国土交通省航空局の水素燃料電池の飛行許可を取得し、国内外の企業と水素燃料電池ドローンの実用化に取り組んでいる。

ロボデックス製 水素燃料電池ドローン

リチウムイオンキャパシタ

 ジェイテクトのリチウムイオンキャパシタは、独自技術により従来の動作温度範囲を超える-40~85℃を実現し、電圧制限することで100℃まで使用が可能。また、耐熱性を向上させ、高負荷連続使用時の自己発熱(ジュール発熱)に伴う劣化を大幅に抑制している。リチウムイオン電池と異なり、正極に活性炭を用いることで発火を抑える安全性を備えている。

【水素燃料電池ドローンにおけるキャパシタの役割】
ドローンの急上昇・加速時における電力アシスト。水素燃料電池の劣化抑制。
キャパシタ高耐熱化により高負荷電力供給時のキャパシタ劣化を抑制、システムの長寿命化。
高温、低温下でも高い入出力性能を有し、厳しい飛行条件にも対応。
強風時におけるドローンの姿勢安定化。
ドローン電源失陥時の不時着用バックアップ電源(機能開発中)。

ジェイテクト製リチウムイオンキャパシタ

補助電源システム

 ジェイテクトでは、12V系電源を搭載する大型車両へのEPS(電動パワーステアリング)搭載を支援することを目的に、キャパシタと充放電コントローラーをEPSに付加するシステムを開発。12Vの車両電源に対しキャパシタからの6Vの電圧を付加することで18Vの高出力化を実現し、大型車両で必要な操舵アシスト力を確保した。
 乗用車向けのキャパシタの活用は補助電源用途のほか、車両電源失陥時にはバックアップ電源として作動するなど自動運転車両の信頼性向上に貢献するという。

 自動車向け電源システムをドローン用48V電源に改造して搭載することで、ドローン電源電圧を最大65Vまで昇圧し、最大電力を最大出力2400Wから3250Wまで引き上げる。

EPS向けの補助電源システムをドローン向けに改造