2021年10月20日、空飛ぶクルマ(eVTOL)の販売やサービスプラットフォームを開発するエアモビリティ社は、米国で空飛ぶクルマを開発するBartini(バルティーニ)社との独占販売契約に基本合意したことを発表した。

 2017年に米国で設立されたバルティーニ社は、旧ソ連の航空技術をベースとしている。民間航空会社向けに旅客機を製造・認証してきた実績を持つ航空技術者チームを保有しており、その技術により作られた空飛ぶクルマは、高いエネルギー効率や冗長性、省スペースでの離着陸が可能といった特徴をもつ。電池と水素燃料によるハイブリッドエンジンを採用することで、バッテリー単体駆動の機体に比べ航続距離は最大約4倍。空気力学的にデザインされたキャビンは飛行効率を向上し、コストダウンを実現する。また、プロペラに覆いをつけることで、安全でより速くクリーンな移動を可能にしている。バルティーニ社では、2025年に販売を開始する予定だという。

バルティーニ社の空飛ぶクルマ

 バルティーニ社の空飛ぶクルマは、4つのダクト式スラスターがチルトシフトすることで巡航モードに移行し、ローターを地面に対して垂直に傾けることにより時速300km(162ノット)で飛行するよう設計されている。2人乗り、4人乗り、リチウム電池、水素燃料電池の4種類あり、水素燃料電池は、ほぼ2時間で最大550kmの距離を飛行し、リチウム電池は30分で150kmの範囲をカバーする。リチウム電池、水素燃料電池による二重の冗長性、ノードの二重化、可動部品を最小限とすること、ブレード周りのダクトなどにより安全性を確保。この構成は騒音対策にも効果をもたらす。操縦は、マニュアルと自律飛行の2つのモードを用意している。

空飛ぶクルマ イメージ

空飛ぶクルマ内装 イメージ

各社コメント

バルティーニ社 CEO Ílya Khanykóv氏

 我々バルティーニ社はエアモビリティ社と、我々の重要な市場の一つである日本において、販売代理店契約を締結でき大変嬉しく思います。我々は、日本では環境、コミュニティ、安全性、高品質の革新性、美学を大切にしていることを知っており、私たちが開発した「空飛ぶクルマ」はそのニーズに必ず応えられると考えております。我々はエアモビリティ社と日本市場での長く実りある関係が構築できるのを楽しみにしております。

エアモビリティ 代表取締役社長&CEO 浅井尚氏

 最近「空飛ぶクルマ」の話題は各メディアでも頻繁に取り上げられるようになってきました。そして2025年の大阪・関西万博では「空飛ぶクルマ」を使った輸送サービスも提供される予定です。各自治体からも「空飛ぶクルマ」を活用したサービス構築に向けた相談を度々いただくようになりました。このように「空飛ぶクルマ」産業は確実に動き出し、広がってきておりますが、それに合わせてニーズも多様化してきており、そのニーズに合った「空飛ぶクルマ」をいかに提供できるかが大きな課題でもあります。エアモビリティ社では、それらのニーズに対応できるような「空飛ぶクルマ」のラインナップを拡充するため、今回バルティーニ社との独占販売契約に基本合意しました。すでに契約しておりますDufour Aerospace社、VRCO社と合わせて、多様なマーケットニーズに対応できる体制が整うと考えております。