2021年9月22日、SPACE WALKER(以下、スペースウォーカー)は、日精と、水素燃料電池ドローンに搭載するTYPE4(※1)の複合材高圧ガスタンクの開発等における戦略的パートナーシップ契約を締結したことを発表した。

※1 樹脂ライナーに、鏡部も含めてFRPを巻きつけたタンク

 燃料電池ドローンは、バッテリーを搭載したドローンと比べて長時間の飛行が可能である。昨今、災害や物流等に対応するために水素燃料電池ドローンの期待が高まっており、燃料電池ドローンに搭載可能な軽量かつ頑強な水素タンクが求められている。

 宇宙スタートアップ企業のスペースウォーカーは、有翼式再使用ロケットの開発を手がけている。ロケット開発は、総質量の8割程度を占めるガス・液体燃料の高圧タンク軽量化が特に重要となるため、商業化に向けた研究開発を進めていた。2021年7月にはCoMReD社を吸収合併し、複合材高圧タンクを専門に開発する複合材技術部を発足、開発体制を強化している。

 日精は、メーカー機能を持つ商社として産業資材分野、スポーツ分野等で、合成繊維、合成樹脂製品、炭素繊維複合材料等を供給してきた。メーカーとしては、炭素繊維製高圧複合容器といった高機能素材と独自技術による製品を自社生産している。

 両社が提携することで、宇宙開発技術の地上への転用を効果的に実現し、災害対応等への水素燃料電池ドローンの活用拡大を加速させていきたい、としている。

関係者コメント

日精 取締役 野村氏

 水素燃料電池ドローンは、飛行時間を飛躍的に伸ばすことが可能となり、環境性能にも優れていることから、災害対応や物流等の分野に於いて大きな需要が期待されています。このような中で、当社は、両社が持っている各々の技術を融合し合いながら水素燃料電池ドローン用の炭素繊維製高圧複合容器の開発を進め、来るべき「水素社会の実現」に貢献してまいりたいと考えております。

スペースウォーカー 代表取締役CEO 眞鍋氏

 今回の戦略的パートナーシップは、特に災害対応等に貢献する、長時間航行を可能とした水素燃料電池ドローン向けのTYPE4複合材高圧ガスタンクの開発を目的としています。複合材容器メーカーの老舗企業である日精と、ロケット開発において最先端技術を追求しているスペースウォーカーの相互のノウハウ・知見を持ち寄る事で、スピード感をもって社会実装できる事を期待しています。