2022年4月22日、NTTドコモは、沖縄美ら島財団の協力、沖縄県後援のもと、沖縄県の海洋ごみ問題に関する取り組みとして「ウミガメの恩返し」発表イベントを同日開催した。

 イベントの第一部では、同社の坂本秀治氏と沢野綾子氏、任意ボランティア団体「ゴミがすべての始まりだった。」(通称:gomisube.)の友寄隆秀氏が登壇し、イベント概要や取り組みの経緯、沖縄の海の現状や課題について説明を行った。

 同イベントは、沖縄をはじめ日本全国で深刻な問題となっている海洋ごみに注目した取り組みとなっており、坂本氏は、施策実施の経緯として「世界でも深刻な問題となっている海洋ごみの問題に対し、沖縄のボランティアの方々が、『次の世代に美しい海を残したい』という想いから、海を守る活動に取り組まれていることを知りました。NTTドコモのアイディアや技術で、少しでも取り組まれている方々が楽しいと感じていただき、一人でも多くの方が問題に関心をもち、行動をおこすきっかけとなって、活動が広がっていくことを願っております」と語った。

 また、沖縄の海の現状や課題について、友寄氏は「テレビなどで紹介される沖縄の人工の海は本当に綺麗ですが、自然の海や砂浜には不法投棄されたごみにまみれています。このままだと沖縄の綺麗な海がどんどんなくなってしまうのではないかと危機感を感じていました。沖縄に漂着する海洋ごみは、日本だけでなく世界各地から多くのごみが漂着しているのが現状です」と話した。

NTTドコモ 坂本秀治氏(左)、gomisube. 友寄隆秀氏(右)

 海洋ごみは、ウミガメ型海洋ごみ回収ドローンと空を飛ぶカモメ型ドローンを活用して、カメラ映像をリアルタイムに確認しながら、スマートフォンで実際に遠隔操作を行って回収することができる。遠隔地から映像を見ながら操作が可能なため、高齢者や自由に活動ができない人なども参加可能だ。

 今回の取り組みでは、清掃活動を通じて集まった海洋ごみを使用して、ウミガメ型海洋ごみ回収ドローンの外装を製作した。集めた海洋ごみを破砕し、色をかけてプレスすることでカラフルな外装のパーツとして活用した。

 友寄氏は実際にドローンを遠隔操作し、動くドローンの様子をモニターに映しながら体験した。

友寄氏がドローンを遠隔操作する様子。

 最後に、集めたごみの一部を使って制作したアート作品を公開。地元の学生と清掃活動を行うボランティアが共同で制作した。沢野氏は「ビーチクリーン活動で収集するごみは、私たちが日常生活で利用しているものも多く、沖縄の海やそこで生きる生物にも影響をおよぼしています。この作品では、中心に描かれた美しい海・生物を、未来に残していきたいという想いを表現しています。ご覧いただいた方に、海洋ごみの現状と自然・生き物に与える影響を知って頂き、そこから私たち1人1人が日々の暮らしの中でちょっとした心がけを持つきっかけとなることを願っています。」と語った。
 この作品は、美ら島自然学校で2022年9月4日までの展示を予定している。

NTTドコモ 沢野綾子氏(左)、アート作品「未来へ」(右)

 第二部では、海岸にてウミガメ型海洋ごみ回収ドローンを活用し、遠隔操作による海洋ごみ回収のデモンストレーションを行った。実際に空から海洋ごみを探すカモメ型ドローンの映像と、ウミガメ型海洋ごみ回収ドローン視点の映像をリアルタイムに見ながら、遠隔操作を行うスマートフォンを操作し、海洋ごみに見立てたサンプルを回収した。

ウミガメ型海洋ごみ回収ドローン。
カモメ型ドローン。

 NTTドコモはこれまで、奄美・沖縄を対象に世界自然遺産推進共同体の発足・推進への取り組みや、画像認識AIによる密猟密輸対策実証実験など、沖縄においてさまざまな活動を行ってきた。2022年3月には水中ドローンを活用した「サンゴの生態調査」や「サンゴやウミガメの水中映像の配信」等に関する実証実験を開始。今後も沖縄の環境や生物多様性の保全に取り組むとしている。

▼「ウミガメの恩返し」特設サイト
https://www.docomo.ne.jp/special_contents/umigamenoongaeshi/