2021年11月22日、テラ・ラボは、災害発生時にドローンを活用した災害対策情報支援を行うため、長距離ドローンの製造、整備工場およびデータ解析試験研究施設となる「TERRA LABO Fukushima」を開所したことを発表した。

 同社は、自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金を活用して、今年3月より南相馬市復興工業団地内に同施設の建設を進め、11月18日に竣工した。敷地面積は約1万754平方メートル 、延床面積は1,320平方メートル。投資額は2億7,786万円。同日、竣工式や内覧会が執り行われ、門馬和夫南相馬市長などが出席した。

 テラ・ラボは2023年4月頃の実用化・事業化を目指しており、災害対策情報支援の体制を確立し、地元の産業集積や雇用創出にも寄与するとしている。

TERRA LABO Fukushima 外観。建物コンセプトは Umi(海)to Sora(宙)。
11月18日に執り行われた竣工式の様子

 テラ・ラボは2019年2月から、福島県イノベーション・コースト構想に基づき、県が整備した福島ロボットテストフィールドにおいて、大規模災害に備えた長距離ドローンの製造と試験研究を進めてきた。今後も予想される自然災害発生時に、固定翼型長距離ドローンを活用した災害対策情報支援ができるよう、自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金(製造・サービス業等立地支援事業)の活用に加えて、日本政策金融公庫、福島銀行、七十七銀行、あぶくま信用金庫、相双五城信用組合など、南相馬市が連携する金融機関の支援を経て同拠点の建設に至った。

 同社のミッションは、ドローンを使った災害情報の収集、解析、共有の3つである。災害が発生した場合、同拠点からドローンを飛ばして被災地上空よりスキャンを実施。地形をレーザーで照射し、記録したデータと災害前のデータを照らし合わせ、被害状況を把握する。この解析により、二次被害が起こりうる場所の予測が立てやすくなる。

飛行観測のイメージ

TERRA LABO Fukushima

 災害対策DXを活用した長距離ドローンの実用化・事業化の新拠点となるTERRA LABO Fukushimaは、長距離ドローンの整備・製造、データ解析の機能を有し、福島ロボットテストフィールドの滑走路に直結する民間試験研究施設である。ドローンの制御を行う管制室や、各関係機関との連携を図る危機対策室、機体の製造・開発を行う製造格納庫を備えている。

<管制室>
 管制室は、114パターン(マルチスイッチャー)の映像レイアウトに対応。3次元データ解析システムを導入している。クラウドシステムにより遠隔地からでもデータの送受信が可能。

管制室

<危機対策室>
 管制室に送信された映像と連携し、外部とリモート会議を行うことができる。災害対策本部と連携が可能。

危機対策室

<製造格納庫>
 約800平方メートルある大規模格納庫。翼長4mのUAV8機、翼長8mのUAV4機を製造・格納する(現在約10機を格納)。福島ロボットテストフィールド内の滑走路(500m)と格納庫を結ぶ地点に駐機場を設置しており、飛行準備、待機が可能。

製造格納庫

TERRA LABO Fukushima 施設概要
所在地:福島県南相馬市原町区萱浜字北赤沼185 南相馬市復興工業団地 第6区画
敷地面積:10,754.18㎡(約3,259坪)
延床面積:1,320.00㎡(約400坪)
投資額:2億7,786万円  ※自立・帰還支援雇用創出企業立地 補助金制度を活用