2021年8月11日、北海道の上士幌町とセイノーホールディングス(以下セイノーHD)、電通、エアロネクストは、ドローンを含む次世代高度技術活用による「持続可能な未来のまちづくり」に向けた包括連携協定を同日締結したことを発表した。

 この協定は、2021年度SDGs未来都市に選定された上士幌町がスマートタウンの構築・推進として掲げる「持続可能な未来のまちづくり」にむけた連携・協力を行うことにより、同町におけるドローンを含む次世代高度技術を活用したスマートで、サステナブルな社会を世界に先駆けて実現し、全国自治体のロールモデルとなることを目的としている。

 具体的には、ドローンを活用した観光商品開発、個宅へのドローン配送実証、ドローン配送と陸上輸送を融合したスマート物流 “SkyHub” の社会実装に向けた検討などに取り組む予定である。

向かって左から、エアロネクスト代表取締役CEO 田路圭輔氏、上士幌町長 竹中貢氏、セイノーHD執行役員 河合秀治氏、電通執行役員 徳山日出男氏。

 上士幌町は、2020年12月に行われた第4回ジャパンSDGsアワードで、推進副本部長(内閣官房長官)賞を受賞したのに続き、SDGs達成に向けた優れた取り組みを提案した自治体として、内閣府の2021年度「SDGs未来都市」に選定され、その中でも特に先導的な取り組みとして「自治体SDGsモデル事業」にも併せて選ばれるなど持続可能な未来のまちづくりを推進している。

 町の持続的な発展を目指すには、主力の観光産業の磨き上げや農業の高齢化、なり手不足に対する生産性向上、カーボンニュートラルと利便性が両立した域内の移動や物流など、住みやすい環境づくりと住民サービスの維持が課題になる。

 4者は、karch社など町の事業者と連携しながら、次世代高度技術の積極的な活用とパートナー連携を拡大することで町の社会課題の解決を目指し、住みやすく、魅力的な街づくりに取り組む。

 ドローン領域においては、国内のドローン産業活性化に必要となる常時飛行が可能な環境を確保するため、上士幌町にドローン関係者が集まり、あらゆる取り組みを行えるフィールドを作り、国内ドローン産業の発展に寄与するとしている。

連携協定の概要

締結日
2021年8月11日

協定の内容
ドローンを含む次世代高度技術の活用により、以下の事項において連携・協定する。

(1) 農業・観光・産業・経済の振興に関すること
(2) 持続可能な地域雇用、人材教育、人材育成および産業基盤整備に関すること
(3) カーボンニュートラルと利便性が両立した持続可能な地域交通・物流の確保と住みやすい環境づくりに関すること
(4) 地域防災への貢献および新しい社会インフラの整備に関する事項に関すること
(5) 観光地域商社「株式会社karch」と連携した新たな観光コンテンツ開発に関すること
(6) 上記に関わる情報発信に関すること

具体的な取り組み(予定)
(1) ナイタイテラスにおけるドローンを活用した観光商品開発
(2) 次世代高度技術活用における個宅へのドローン配送実証の実施
(3) セイノーHDとエアロネクストが推進するドローン配送と陸上輸送を融合した新スマート物流 “SkyHub” の社会実装に向けた検討
(4) その他、カーボンニュートラル、SDGsに資する取り組みの検討と実施

エアロネクストの物流専用ドローン最新試作機

関係者コメント

上士幌町長 竹中貢 氏

 上士幌町は、持続可能なまちづくりを掲げ、次世代高度技術の社会実装によるスマートタウンの構築を進め、ICT活用による地域住民の生活サポートや利便性の向上を目指しています。

 この連携協定により、官民が連携し行政だけでは解決できない、物流や買い物弱者の課題を他自治体のモデルにもなれるよう、先駆的に取り組んで参りたいと考えております。

セイノーHD執行役員 河合秀治 氏

 セイノーホールディングスは、幹線輸送の強みを活かしたラストワンマイル配送領域において、生活様式の変化や構造変化に対応すると共に、買い物弱者対策、生活困窮家庭対策等の社会課題解決型ラストワンマイルの構築を積極的に推進・拡大しております。中でも物流におけるドローンの活用については、省人化、無人化の領域で期待するテクノロジーの一つです。上士幌モデルでは「持続可能な未来のまちづくり」において、物流が担う役割やテクノロジーの実装がいかに住みやすい環境づくりと住民サービスに繋がるかを追求したいと考えております。

電通執行役員 徳山日出男 氏

 電通は、これまで、プロジェクトの立ち上げから今回の包括連携、今後予定されている各実証のプロデュースを中心に担わせていただきました。今後さらに、本プロジェクトが円滑に行われるよう協力させていただき、チームの皆様とともに「上士幌モデル」を作りあげたいと思っております。それを全国に発信、波及させ、実証に終わらせず、マーケティング領域等の知見を活かし、社会システムとして実現させたいと考えています。

エアロネクスト代表取締役CEO 田路圭輔 氏

 エアロネクストは、山梨県小菅村でドローン配送の実用化を進めており、セイノーグループと協業してドローン配送を含む新スマート物流 “SkyHub” を開発しています。SkyHubを社会実装した「持続可能な未来のまちづくり」の実現に向けて、上士幌町に日本で初めて本格導入していきます。ドローンという新しいテクノロジーを活用した空のインフラを新たに構築し、上士幌町の皆様の生活の利便性を高めていきたいと考えています。

 この連携協定により、町の課題や町民のニーズに沿って、ドローンを含む次世代高度技術の活用による農業・観光・産業・経済の振興、持続可能な地域雇用および人材教育・人材育成・産業基盤整備、持続可能な地域交通・物流の確保と住みやすい環境づくり、地域防災への貢献および新しい社会インフラの整備を推進することで、上士幌町における「持続的な未来のまちづくり」に貢献していく、としている。