エアロネクストと吉野家は、2021年7月21日、山梨県小菅村において、村民にできたての牛丼をドローン配送で提供した。この取り組みは、2020年11月にエアロネクストがドローン配送サービス導入による地域活性化と、新スマート物流の社会実装に向けて連携協定を締結した小菅村で新スマート物流「SkyHub」(※1)の実装を進める中、4月末に試験配送から開始したドローン配送の実施回数が、7月1日に合計100回を達成したことを記念して実施したものだ。

※1 SkyHub
既存物流とドローン物流をつなぎ、地上と空のインフラを接続した新スマート物流の仕組みのことで、エアロネクストとセイノーホールディングスが共同で進めている。ドローン配送の組み込み、共同配送、オープンプラットフォームかつ標準化した仕組みが特徴。

吉野家「オレンジドリーム号」と物流専用ドローン
牛丼を受け取る住民

 橋立地区のドローンデポに駐車した吉野家のキッチンカー(オレンジドリーム号)で調理した牛丼弁当を専用ボックスに格納してドローンにセット。小菅村内に現在開通している5つの飛行ルートのうち2地区4ルートを、約15分から20分間隔で計6回飛行して村民に届けた。牛丼弁当は熱い温度を保ち、たれがこぼれたり中身がかたよったりすることなく配送することができた。11時から15時頃まで、ドローン配送で届けた16個を含む計150個の牛丼を村民に提供した。

 機体は、2021年3月に発表した、ACSLとエアロネクスト共同開発の物流専用ドローンを活用。エアロネクストの機体構造設計技術「4D GRAVITY」(※2)を搭載し、飛行部と荷物積載部が分離した構造となっている。飛行性能、応答性能、着陸性能に優れ物流用途に特化している。

※2 4D GRAVITY
飛行中の姿勢、状態、動作によらないモーターの回転数の均一化や機体の形状・構造に基づく揚力・抗力・機体重心のコントロールなどにより空力特性を最適化することで、安定性・効率性・機動性といった産業用ドローンの基本性能や物流専用ドローンの運搬性能を向上させるエアロネクストが開発した機体構造設計技術。

牛丼を運ぶ物流専用ドローン最新試作機
小菅村で現在開通している4地区5飛行ルート

 小菅村におけるドローン配送サービスは、告知方法や配送品目などサービス全体に対する住民からのフィードバックを受けながら、当初の1地区1飛行ルートから、宿泊施設の屋上を含む4地区5飛行ルートまで拡大。目視外飛行も実現し、一日の配送頻度を増やすと共に、オペレーション品質の向上などを行ってきた。

 今後もエアロネクストは物流専用機体を標準モジュールとするドローン配送を組み込んだ新スマート物流SkyHubの開発と、村の物流の課題解決に貢献するサービスモデルの実証と実装を進める、としている。

牛丼を村民にふるまうエアロネクストのスタッフ