2021年3月26日、A.L.I. Technologies(以下A.L.I.)は、国土交通省主導のプロジェクト「PLATEAU(プラトー)」に参画し、ドローン測量によって3D都市モデリングデータを民間活用するための実証実験を実施したことを発表した。

 PLATEAUは、日本全国の3D都市モデルの整備・オープンデータ化を行うプロジェクトである。様々な都市活動データを3D都市モデルに統合することで、都市計画立案の高度化や、都市活動のシミュレーション、分析等が可能になる。

 同社は3D都市モデル構築対象都市のひとつである加賀市と協力し、3D都市モデルを使用した物流ドローンのフライトシミュレーションを行うとともに、3D都市モデルの効率的アップデートのために、物流ドローンが撮影する配送ルート上の航空写真を活用した更新可能性についても検証を行った。

加賀市での実証実験の様子

実証実験概要

日程 :2021年3月1日~3月4日
場所 :石川県加賀市片山津温泉街
実証内容 :3D都市モデルを用いたドローン運航のシミュレーションによる業務効率化と、飛行によるモデルアップデート可否の検証

1. 3D都市モデルの利用の観点で、A.L.I.のUAV管制システム「C.O.S.M.O.S(コスモス)」に連携させ、航空法に則った自動空路可視化機能による3Dでの飛行ルートシミュレーションと、運航者トレーニングにより業務効率化・コストダウンにつながるか検証
2. 3D都市モデルのメンテナンスの観点で、物流UAVによる配送ルート確認用の撮影写真から写真測量を実施、測量結果により3D都市モデルをアップデート可能か検証

東京駅付近のCityGMLモデルを用いたシミュレーション画像

 A.L.I.は今回の実験に際して、国際基準規格であるCityGML形式のデータを使って飛行ルートのシミュレーションが行えるシミュレーターを新たに開発。さらに、C.O.S.M.O.SにCityGMLデータが取り込めるよう追加開発を行った。CityGMLは一般的な地図データと異なり建造物の高さ情報が含まれているため、ドローンの飛行ルート設定やシミュレーションに有用である。
 今後、シミュレーターで生成されたルートをC.O.S.M.O.Sに組み込めると、シミュレーションと同じルートを飛ぶことが可能となるため、事前に現場確認に赴く工数の軽減、飛行ルート設定での反復作業を削減でき、総合的なコストダウンに繋がると同社は考えている。
 ドローン物流と並行して行う測量データは、CityGMLの精度までには至らないものの、地図データの更新の頻度向上には有効なレベルであると実証できた。

アップデート前
アップデート後