2021年3月25日、静岡県伊豆半島東海岸地域の4市町(伊東市、東伊豆町、河津町、下田市)と日本ドローンコンソーシアム(以下JDC)、およびソリューションパートナー(三信建材工業、国際航業、森本組、日立システムズ、Kanatta、東急、東急テクノシステム、伊豆急ホールディングス、三島信用金庫、静岡県東京事務所)は、「無人航空機の活用による地方創生の推進に関する連携協定」を同日締結することを発表した。ドローンを活用した研修、研究、開発および実証実験などを推進することで地域社会の課題解決を図り、地方創生のため互いに支援・協力する。

 ドローンは、公共構造物の点検・補修や防災、観光、農業などさまざまな領域での活用に向けて研究・開発が進められているが、現場に取り入れるには運転免許制の導入、操縦技術を持つ人材の育成、運用ルール作りなど運用面の課題があり、それを検証解決するための「社会実装フィールド」が求められている。
 4市町は人材育成(研修・訓練)の場や社会実装の機会を提供し、JDCやパートナーが持つドローン・ロボティクス技術や関連ソリューションサービスと、地元企業や生活者が合わさることで、伊豆半島東海岸地域にロボット産業を誘致し地方創生を推進する「静岡モデル」を今回の連携協定により推進する。この取り組みは、2020年2月に静岡県東京事務所、伊豆急行、東急が発表した「企業研修誘致による地方創生の推進に関する連携協定」で実現を目指す「地方創生サイクル」の第一弾となる。

 4市町は、技術開発拠点や山間部、海岸部、住宅部など飛行環境フィールドを提供し、そのフィールドを活用してJDC、パートナーはドローン・ロボティクス技術や関連ソリューションの開発を行う。また「ドローン・ロボティクス活用推進協議会」を組成し、その技術や運用サービスを全国の自治体や企業へ提供する。

 サービスは、1)社会インフラ点検・メンテナンス(専門技術開発および教育)、2)危機管理(広域防災・災害時対応システム)、3)地域創生(生活、観光エンタテインメントの創出)の3テーマを検討しており、伊豆半島東海岸地域への交流人口の増加と地方創生の実現を目指す。

協定の主な内容

名称 :無人航空機の活用による地方創生の推進に関する連携協定
目的 :無人航空機を活用した研修、研究、開発および実証実験などを推進することにより地域社会の課題の解決を図り、地方創生に寄与する。
協力事項
1. 無人航空機を活用した研修、研究、開発および実証実験などの推進に関すること
2. 地域防災の強化・災害時対応に関すること
3. その他、地域振興に関すること
今後の主な取り組み
1. ドローンの操作およびインフラ点検などにかかる研修訓練・研究拠点の形成
2. ドローン飛行操作体験などの誘致による交流人口の拡大
3. 公共施設・構造物の点検、補修や防災・災害時の活用など広域防災力の強化
4. 首都圏企業と地元企業とのマッチングを通じた新産業・サービスの創出

「地方創生サイクル」静岡モデル

 地方創生サイクル静岡モデルをドローン産業にあてはめ、1:(県外から)関連人材・企業を呼び込み、2:ドローン産業化人材を育成し、3:ドローンの商品・サービスを作る、といった「産業振興・地方創生のエンジン」を創造し、地域の雇用、関連産業の創出、関係人口の拡大となる地方創生サイクルを生み出す。この産業振興・地方創生のエンジン機能を担う主体として「ドローン・ロボティクス活用推進協議会」を構成する。

ドローン・ロボティクス活用推進協議会

 同協議会は、1)社会インフラ点検・メンテナンス(専門技術開発および教育)、2)危機管理(広域防災・災害時対応システム)、3)地域創生(生活、観光エンタテインメントの創出)に対し、協定参加メンバーを中心に研究者や大学、自治体関連部署がそれぞれの課題やソリューションを提供して取り組む。そこで開発された技術や活用ノウハウを全国の自治体や企業へ人材育成や研修(スクール)サービスを通じて提供する。
 初年度事業計画として、伊豆半島東海岸地域へ県外からの訪問人数約1,600人、のべ滞在日数約1,800日に達する活動効果獲得に取り組む。