2020年8月4日、国際航業は、愛知県豊川市、新城市およびトラジェクトリーと、地方創生に関する包括連携協定を締結したことを発表した。今後、両市の「東三河ドローン・リバー構想推進プロジェクト」におけるドローン・エアモビリティ(空飛ぶクルマなど)の安全運航実現に向け、離発着地点や飛行ルート上の詳細な3次元地図製作とドローン管制システム構築の検討・共同研究を進めていく。

包括連携協定締結式の様子/現地:国際航業 代表取締役社⻑ 土方聡氏(左)、トラジェクトリー代表取締役社⻑ 小関賢次氏(右)、中央タブレット(遠隔):新城市市⻑ 穂積亮次氏(左)、豊川市市⻑ 竹本幸夫氏(右)

包括連携協定の背景

 ドローン・エアモビリティ産業における地域の産業創出を目指して豊川市と新城市が策定した「東三河ドローン・リバー構想推進プロジェクト」は、未来技術を活用した社会システムづくりの全国的なモデル事業であることが評価され、連合自治体として唯一、地域再生法に基づく内閣府の地域再生計画として採択を受けた。

 国際航業は、昨年度同地域に設置された「ドローンを活用した地域社会の実現に向けた官⺠連携検討準備会」に参加し、測量・インフラ点検事業者として同社が有する知見や技術を提供することにより、両市との関係を深めてきた。この準備会の発展的後継となる官⺠協働の推進主体が、2020年8月1日に新たに設立された「東三河ドローン・リバー構想推進協議会」であり、国際航業は引き続き参画している。

 今回の包括連携協定は、各者が緊密に連携・協力し、それぞれの資源を有効に活用することを目的に締結された。

ドローン・エアモビリティ産業における3次元地図の利用について

 現在、ドローンのレベル3飛行が解禁され、全国各地でドローンを活用した物流の実証実験が始まっている。しかし、その飛行計画には3次元地図情報は活用されていない。2022年にはドローンレベル4飛行の解禁が予定され、ドローンを活用した物流も社会実装に向けて本格始動していくことが想定される。

 今回の共同研究では、離発着場(離陸・着陸・緊急時着陸など)周辺や飛行ルート上における送電線、鉄塔、電柱、電線、避雷針、電話線、木の枝など、通常の地図には記載の無い情報を取得し、詳細な3次元地図を作成することによってドローン・エアモビリティの安全運航確保を目指す。その中で国際航業が作成する3次元地図データを活用し、トラジェクトリーのAI航空シミュレーターに取り込むことで安全な飛行航路設計を実現させる計画である。

3次元地図をAI管制システムに取り込むイメージ

ドローンの「レベル3飛行」「レベル4飛行」とは

 ドローンの「レベル3飛行」とは、「無人地帯(山、河川、海水域、森林等)での補助者(※1)なし目視外飛行」を示し、「レベル4」とは「有人地帯(都市部等第三者上空)での補助者なし目視外飛行」を示す。

※1 ドローンの飛行状況や周辺の気象状況変化の監視等を行う者