2021年1月28日、テックファームは、NTTドコモによるドローンを活用した放牧業務の効率化を目指す実証実験をサポートしたことを発表した。同社は、スピーカーを搭載したドローンの航行ルートや音声の自動再生の設定をウェブサイト上で行い、Androidアプリで航行制御しながら牛を誘導できるシステムを開発した。この実証実験は北海道豊富町で行われ、ドローンによる牛の誘導は北海道では初めての取り組みだという。

<ドローンによる牛の誘導>

ドローンによる牛の誘導の特徴

1. 人手を介さない牛の誘導が可能
 ドローンから犬の鳴き声などの音を発することで、人が近くにいなくても牛を柵内に誘導できる。大規模な牧草地を移動する身体的負担が軽減でき、作業時間短縮や人員削減による人手不足の解消にも繋がる。

2. 簡単な操作
 アプリやウェブサイトの操作画面をシンプルで直感的なデザインにすることで操作性を向上。ドローン操縦ができない者でもアプリ上での指示だけで簡単に操作できるよう設計している。

システムの概要

 ウェブサイト上で、ドローンに搭載されているGPSに基づく緯度経度のポイントごとに飛行高度、滞在時間、音声の種類、音量などを設定し、ドローンの航行計画を立てる。その航行計画をAndroidアプリに登録し、アプリ上で飛行開始の指示や一時停止の制御などを行う。ドローンから送信される位置情報は、テックファームの提供するIoTプラットフォーム「MoL」で管理している。

取り組みの背景

 テックファームは2019年、NTTドコモが推進するドローン農作業支援システムの実証実験プロジェクトで、ドローンの自動航行によって農地を撮影し生育状況の確認ができるシステムとアプリを開発した。その際の知見を活かし、NTTドコモが北海道豊富町で取り組んでいたドローンによる牛の誘導プロジェクトに参画。ドローンの自動航行による牛の誘導に向けて、テックファームが開発したシステム・アプリによって実証実験をサポートしている。
 豊富町が運営する大規模草地牧場は、広大な敷地面積にも関わらず従業員が少なく、牛の誘導や施設管理業務に約4時間かかり人手不足が深刻な課題となっていた(※1)。NTTドコモが豊富町などと行った実証実験では、従来2人一組で行っていた牛の誘導がドローン操縦者1人で済み、労働時間を削減できたという検証結果が出ている(※2)。この取り組みにテックファームが加わりドローンの自動航行を目指すことで、更なる効率化が期待できるという。

 テックファームは、今後も産業用ドローン向けのスマートフォンアプリ開発によって、農業、点検、防災といった幅広い分野でのドローン活用に貢献していく、としている。


※1 :プレスリリース「北海道初!ドローンを用いた放牧業務の効率化に向けた実証実験を開始」(2019年7月31日、NTTドコモ発表)
https://www.nttdocomo.co.jp/info/notice/hokkaido/page/190731_00.html

※2 :ICT地域活性化事例100選「北海道豊富町ドローンで牛追い“スカイカウボーイ”」(総務省)
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/top/local_support/ict/jirei/2020_003.html