2020年12月3日、自律制御システム研究所(以下ACSL)とWorldLink & Company(以下SkyLink Japan)は、ドローンによる太陽光パネル点検の撮影からAIによる画像診断までワンストップで実施できるソリューションの提供を開始することを発表した。

 太陽光パネルは屋外にあるため、経年劣化やホコリや落ち葉等の汚れにより、発電量の低下やパネルの故障を引き起こす場合がある。また、2017年に改正されたFIT法(固定価格買取制度)により、太陽光発電事業者に、事業計画の提出と保守点検の義務が課せられるようになり、定期点検の重要性が増している。
 しかし、太陽光パネルの点検は、検査員が測定器をもってモジュール一枚一枚を点検していくため時間がかかる、人が点検するため見落としなどの人的ミスの可能性といった課題がある。

 ACSLは、国産の産業用ドローンを開発しており、物流、インフラ点検、災害等の分野で採用されている。ドローンの制御を担うフライトコントローラを自社で開発しており、インターネット通信なしでの運用が可能で、外国のサーバーをアクセスする必要がないなど、セキュアで安心なドローンの社会実装を推進してきた。

 SkyLink Japanは、産業向けのドローン関連サービスを展開している。2020年7月にはドローンで取得されたデータを分析するプラットフォームなどを開発する、SITEMARK(サイトマーク、本社:ベルギー)と業務提携し、日本におけるAIによる太陽光パネル診断ソリューションのサービス提供を開始している。

 両社は、太陽光パネル点検における課題を解決するため、ACSLが開発した国産の産業用ドローンMiniと、SkyLink JapanのAIによる太陽光パネル診断ソリューションを組み合わせることで、太陽光パネル点検のワンストップソリューションを提供する予定である。

太陽光パネル点検に使用する小型ドローンMini

サービスの特長

1. ACSLが独自に開発した国産のフライトコントローラを搭載した、セキュアなドローン(Mini)を使用
2. 小型の機体で取り回しがしやすく、高低差のある太陽光パネル設置地域でも可搬性に優れる
3. 米国FLIR systems社製カメラを採用し、高い性能と信頼性を確保
4. クラウド上にドローンで撮影した可視光線画像や赤外線画像データを蓄積、また経年変化を観察できるよう時系列でも取り扱え、広大な施設でも容易に一元管理が可能
5. 太陽光パネルの異常箇所であるホットスポットなどをAIによる診断で抽出し、異常箇所の数や大きさから売電損失額を算定し分析することで大幅な改善も期待できる

Miniが太陽光パネルの上を飛行する様子
太陽光パネルを赤外線カメラで撮影した画像
AIによる太陽光パネル診断・クラウドサービス「サイトマーク」

機体、カメラの主な仕様

ACSL「Mini」
機体サイズ:高さ300×幅704×奥行き704mm
機体重量:3.15kg(バッテリ1本含む)
最大飛行時間:48分(ペイロード無し)、33分(カメラ・ジンバル搭載時)

赤外線カメラ「FLIR Duo Pro R(640)」
赤外線:解像度 640×512、FOV 45°×37°(13mm)/32°×26°(19mm)/25°×20°(25mm)、フレームレート 30Hz
可視光:解像度 4000×3000、FOV 56°×45°、動画 最大4K
赤外線画像のディテールを鮮明にする「スーパーファインコントラスト(MSX)技術」対応

▼太陽光パネル点検・ワンストップソリューション
https://info.skylinkjapan.com/solar