資本はどこへ向かうか――投資パネルディスカッション
初日の最終セッションでは、ヒューマノイドとフィジカルAIへの投資をテーマにしたパネルが展開された。WSJ記者のトレーシー・ク氏が進行を務め、Zeon Venturesのデニス・クラーク氏、E12 Venturesのパウリナ・シズデック氏、FIRSTLIGHT Capitalのチャイミン・ライ氏の3名が登壇した。
注目するユースケースについて、シズデック氏は溶接の自動化を挙げ、「溶接工は40万人分も不足し、作業者の多くがヒュームで肺がんを発症している。人間がやるべきでない作業こそ自動化されるべきだ」と語った。ライ氏は「電車や送電設備など、危険で人手を要する領域で効率向上と危険低減を実現したい」と述べ、クラーク氏は巧緻知能の応用への関心を示した。
ビジネスモデルについて、シズデック氏は「スタートは売上ゼロが普通だ」とした上でサービス型の受容性を指摘。ライ氏は「最大の課題は、プロジェクトベースのPoCをいかに継続的な収益に転換するかだ」と述べ、今後の成果報酬型への移行を予測した。クラーク氏は「生成AIのトークン課金のように、ロボティクスもタスクの成功遂行単位へ移行する」との考えを示した。
ヒューマノイド普及のボトルネックとして、クラーク氏は体化されたデータの不足と電力・バッテリー管理を挙げた。シズデック氏は「ボトルネックは人間自身にもある。現場が受け入れなければ市場には出ない」と述べ、ライ氏は「人間のミスには寛容だが、機械が一度でもミスをすると使えないと判断してしまう」という日本企業の声を紹介した。これに対しシズデック氏は「人間より少し遅くても確実に仕事をこなすなら十分価値がある」と寛容さの必要を訴えた。
日本の優位性について、ライ氏は「(米中と比較して)資本が足りないからこそ、建設・インフラ・製造など優位のある産業に絞り賢く戦うべき」と語った。シズデック氏は自動化への高い受容性を評価し、クラーク氏は「人口動態的な引力と、世界的な部品サプライヤーが身近にいることが強みだが、資本とソフトウェア人材は課題だ」と総括した。
ヒューマノイドを社会に実装するために
人口減少という人の課題が国家戦略を呼び、国家戦略が資本を動かし、資本がふたたび社会へ還る。石黒氏の共生社会、日米の合わせ鏡となった政策、投資家が見据える資本の流れ――三層は同じ方角を向いている。Humanoids Summit Tokyo 2026では、ヒューマノイドという技術が、その循環の入り口に差し掛かったことが感じられた。
▼【Humanoids Summit Tokyo 2026】プログラムする時代の終わり
――ヒューマノイドAIの「頭脳・身体・データ」革命(2026年6月19日)
https://drone-journal.impress.co.jp/docs/event/1188625.html
