写真:勉強会の様子

 2026年6月3日、DJI正規販売代理店であるセキドは、千葉市のクロス・ウェーブ幕張において「セキド・パートナーサミット2026」を開催した。同イベントは、同日から幕張メッセで開幕した国内最大級のドローン総合展示会「Japan Drone 2026」に合わせて実施されたもので、セキドの販売パートナーや、DJI製品の販売・導入支援・運用に関わる事業者など約200名が参加した。

 取材した勉強会パートは、コンシューマー、エンタープライズ、アグリカルチャー/デリバリーの3セッションで構成され、DJIおよびセキド関係者による市場分析や製品戦略の説明に加え、実際にDJI製品を活用する事業者による事例紹介も行われた。コンシューマー市場から産業利用、さらには農業・物流分野まで、DJIエコシステムの広がりと日本市場の変化を俯瞰できる内容であった。

コンシューマー市場は拡大継続、成長を牽引するハンドヘルド製品

写真:「セキド・パートナーサミット2026」のスクリーン
約200名が参加した「セキド・パートナーサミット2026」。

 コンシューマーセッションでは、セキドが自社の販売実績データを基に国内市場の動向を分析。それによると、コンシューマー向け市場全体は2023年から2026年にかけて約4割成長しており、依然として拡大基調にある。一方で、販売構成には大きな変化が見られているという。従来はドローン製品が売上の中心を占めていたが、近年はハンドヘルドカメラ製品の存在感も高まっている。セキドでは、ドローン製品を主軸としながらも、映像制作や業務活用の広がりを背景に、ハンドヘルドカメラ製品の販売比率が拡大している。

 セキドでは、この成長の背景として小型ジンバルカメラ「DJI Osmo Pocketシリーズ」のヒットを挙げた。動画配信やSNS向けコンテンツ制作の需要拡大を背景に、VLOGクリエイターや個人ユーザーを中心に支持を集めているという。

 近年のコンシューマー市場では、空撮用途だけでなく映像制作全体を支援するツール群への需要が高まっている。今回示された販売データからも、DJIがドローンメーカーから総合映像機器メーカーへと事業領域を広げつつある実態がうかがえた。

360度空撮が切り開く新市場、Avata 360の可能性

 また、一般社団法人日本低空経済振興会(LEAD-J)代表理事の千葉一兼氏は、2026年3月に発売された360度撮影対応ドローン「Avata 360」の活用可能性について講演した。
 従来の空撮市場について千葉氏は「競争が激化し、差別化が難しいレッドオーシャン化が進んでいます」と指摘。その上で、全天球映像という新たな撮影手法が市場に新しい価値をもたらす可能性があると説明した。

 特に建設・土木分野では、工事現場全体を360度で記録できることで、従来の静止画や通常動画では取得しにくかった空間情報を効率的に保存・共有できるようになる。空撮を単なる映像制作ツールではなく、空間データ取得手段として活用する新たな市場形成への期待を示した。

産業利用で進む「デュアルユース」化、平時と災害時を支えるドローン運用

 エンタープライズセッションでは、DJI JAPAN株式会社の王丁丁氏が登壇し、最新の産業用プラットフォームについて紹介した。

写真:壇上で話をする王氏
DJIの産業向け製品について説明するDJI JAPAN株式会社の王丁丁氏。


 同氏は、フラッグシップ機「DJI Matrice 400」やドローンポート「DJI Dock 3」などを例に挙げながら、近年の産業用ドローン市場における特徴的なトレンドとして「平常時利用と緊急時活用を両立するデュアルユース運用」が拡大していると説明した。

 具体例として、千葉県東庄町では通学路の見守りを目的に運用しているドローンシステムを、津波警報発令時には避難呼びかけに活用しているという。また北海道では、平時は太陽光発電施設の点検に利用しているドローンを、災害発生時には被害状況の把握や初動対応支援に転用する事例も紹介された。

 人手不足が深刻化する中、自治体や企業では単一用途のシステムではなく、平時から運用実績を積みながら有事にも活用できる仕組みへの関心が高まっている。ドローンポートを活用した遠隔運用や自動飛行技術の進展によって、こうした運用モデルは今後さらに拡大する可能性がある。

 技術面では、DJIの最新システムが航行中の船舶甲板への自動着陸に対応したことも紹介された。洋上風力発電設備の点検や海上インフラ保守、海難救助支援など、海洋分野におけるドローン活用の幅を広げる技術として注目を集めた。

測量従事者が語る現場運用目線での導入成功ポイント

 続いて登壇した青森県八戸市のドローンサービス企業、ITH合同会社の代表である髙見雅之氏は、測量業務におけるドローン活用について講演した。髙見氏は、測量成果を顧客に理解してもらうための説明手法や、導入効果を数値で示す重要性について具体例を交えながら解説。単に高性能な機体やソフトウェアを導入するだけでなく、取得したデータをどのように顧客価値へ変換するかが事業成功の鍵になると指摘した。

 今回のパートナーサミットでは、新製品の紹介だけでなく、販売動向や市場構造の変化、産業利用の最新事例まで幅広い情報が共有された。コンシューマー市場では映像制作ツールへの需要拡大が進み、エンタープライズ市場では平時と災害時を両立するデュアルユース運用が重要なテーマとして浮上している。DJI製品を取り巻く市場は、単なるドローン活用の枠を超え、映像・データ・インフラ運用を支える総合プラットフォームへと進化しつつあることが改めて示された勉強会となった。

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