11月26〜27日、大阪府で「第2回 Japan Drone/次世代エアモビリティEXPO 2025 in 関西」が開催された。同展示会では、全方位を撮影できる360度カメラ「Insta360」の支援のもと、複数のパートナー企業と共同開発された小型ドローン「Antigravity(アンチグラビティ) A1」が国内で初展示された。
会場ではその独自性の高い機能が来場者の注目を集め、コンシューマー・産業用途の双方で新たな撮影手法を拓く可能性が示された。
Insta360の映像技術を空へ、249gクラスに収まる新コンセプト機
Antigravityは、全方位を撮影するアクションカメラの市場をけん引してきたInsta360が中心となり、複数企業とパートナーシップを組んで立ち上げた新たなドローンブランドだ。A1はブランド初の機体であり、Insta360が得意とする360度映像技術を空撮に最適化して投入した形となる。
公開された試作機の詳細スペックは非公表ながら、外観サイズはDJI Miniシリーズ(展開時:約250×360mm)とほぼ同等。重量は249gで、DJI Miniシリーズと同じ“200g台”に収められている。日本国内では登録が必要な区分ではあるものの、グローバル市場では多くの国で追加の登録手続きが不要となる重量帯で、趣味の空撮から業務活用まで幅広くアプローチできる点が特徴だ。
デュアルレンズ8K記録と“見えないドローン撮影”で広がる産業・クリエイティブ活用
A1はFPV(First Person View)を前提としたドローンで、Visionゴーグルとスティック型のGripコントローラーで操縦する。ヘッドトラッキングに対応しており、操縦者が向いた方向にカメラ視野を合わせられるため、没入感の高いFPV飛行が可能だ。機体には上下2カ所に360度撮影カメラを搭載し、自動帰還機能(RTH)も備えるなど、操作性と安全性の両立を図っている。
最大の特徴は、上下2つのレンズで機体周囲の360度映像を8K画質で収録できる「デュアルレンズ設計」だ。撮影後、視点や角度を任意に編集できるため、従来のドローン撮影では難しかったマルチアングル編集が容易となる。また、Insta360製品と同様、映像処理時にドローン本体を消す「見えないドローン撮影」に対応しており、Insta360の既存ユーザーはワークフローを大きく変えずに活用できる。
展示会ではA1で撮影した映像も公開され、直線飛行で記録された全方位映像を基に、水平・俯瞰・後方など多様な視点を抽出した編集例が紹介された。これにより、1フライトで複数カメラを使用したような映像制作が可能になり、クリエイターはもちろん、インフラ点検や調査業務など産業領域でも利便性が高まると考えられる。
「Antigravity A1」は2026年1月に世界同時発売を予定しているが、日本国内での発売時期は法的手続きの関係で未定となっている。国内代理店関係者によると「2026年内の発売を目指したい」としており、価格は機体・バッテリー・ゴーグル・コントローラーを含めて20万〜30万円台になる見込みだという。
360度映像の編集自由度とFPVの機動力を組み合わせたA1が、空撮の常識をどう変えるのか。コンシューマー市場のみならず、ドローンを活用するビジネス領域からも高い関心が寄せられている。
#Japan Drone 2025 in 関西 記事
