世界有数のコンピューター関連見本市「COMPUTEX 2026」が、6月2日から5日までの4日間、台湾・台北で開催された。今年は「AI Together」をテーマに、「AIコンピューティング」「ロボティクス&スマートモビリティ」「次世代テクノロジー」を主要分野に設定。33の国・地域から1,500社が出展し、会場には6,000ブースが設けられた。来場者数は152の国・地域から延べ11万1,312人に上った。
会場ではAIを前面に掲げた製品や技術が数多く展示され、ドローン分野でも画像認識や自律飛行、データ解析などにAIを取り入れた展示が目立った。今回取材した台湾企業には、完成機を開発するメーカーだけでなく、飛行制御システム、画像処理、エッジAIコンピューター、通信機器などを機体メーカーへ提供する企業も多い。インフラ点検や監視、農業、公共安全、防衛などへドローンの用途が広がるなか、台湾の半導体・電子機器産業を基盤とするサプライチェーンの広がりがうかがえた。
AIドローンの多くは、NVIDIA JetsonをはじめとするエッジAI向けプラットフォームを活用し、飛行中に機体上で画像認識や状況判断を行う「空飛ぶエッジAIロボット」として紹介されていた。
NVIDIAのほか、QualcommやIntel、MediaTekなどの半導体メーカーも参加し、基調講演や展示でフィジカルAI、ロボティクス、エッジコンピューティングへの対応を打ち出していた。また、それらの活用先としてドローンが含まれることも紹介されていた。
台北101周辺で1,000機のドローンショー
6月2日夜には、COMPUTEXと併催イベント「InnoVEX」の開幕に合わせ、台北101や台北市政府周辺を舞台とするドローンショーが行われた。
1,000機のドローンを使用し、「0」と「1」で表現したデジタル技術の起源や、半導体、AI、ロボット、スマートモビリティ、国際連携などをテーマとする図柄を夜空に描いた。高層建築物が並ぶ台北中心部で大規模な編隊飛行を実施し、台湾のテクノロジー産業を視覚的に表現した。
AI画像認識とC-UAS用途を展開するELAN
台湾のIC設計会社であるELAN Microelectronicsは、ドローン向けのAI画像認識モジュールやエッジAIソリューションを展示した。
同社によると、画像認識や物体追跡、飛行制御、360度方向の障害物回避などを組み合わせ、自律飛行や目標追尾を支援するという。台湾のドローンメーカーであるThunder Tigerなどと協業し、産業用や公共安全、防衛用途を想定した機体の開発にも関わっている。展示機の多くは重要インフラや防衛分野での利用を想定しており、詳細な飛行性能や通信距離などは公開していなかった。
ELANが開発した「ドローン画像処理・AI物体検出・追跡」は、COMPUTEXの公式表彰制度「Best Choice Award 2026」のロボティクス&ドローン部門で金賞を受賞した。
iRotor-450-FPV
ELANが開発に携わる「iRotor-450-FPV」は、専用ゴーグルとコントローラーを使用するFPV(First Person View:一人称視点)ドローンである。低遅延の映像伝送により、操縦者が機体視点の映像を確認しながら飛行できる。
iRotor-450-OFR
「iRotor-450-OFR」は、カウンタードローン(C-UAS)用途を想定した機体として展示されていた。展示説明では、無許可で飛行するドローンなどを検知・追尾して対処するシステムの一部として、地上レーダーが捉えにくい低高度の監視を補完する用途が示されていた。
iRotor-1950
「iRotor-1950」は、搭載する機器や部品を任務に応じて交換できる大型のマルチファンクションドローンである。C-UASのほか、物資輸送などの産業用途を想定するという。詳細な飛行性能やペイロードは非公開とされた。
iTethered-1400
中型ドローンの「iTethered-1400」は、地上からケーブルを通じて電力を供給する有線給電式ドローンである。バッテリーのみで飛行する機体と比べて長時間滞空でき、監視や通信中継など、一定地点で飛行を続ける用途を想定する。機体重量を抑えながら搭載可能な機器を増やし、落下防止や電波干渉への対策も盛り込んでいるという。
