点検、農業、運搬など幅広い用途に向けて小型機から大型機まで豊富なラインナップを展開するDJI。その日本法人であるDJI JAPANのブースでは、2025年春にリリースした「DJI Dock 3」と「Matrice 4」シリーズ、さらに中型汎用機の「Matrice 400」の登場に合わせてリリースされたLiDAR「Zenmuse L3」を中心に展示。さらに、第8回国際 建設・測量展(CSPI-EXPO 2026)の初日前日に発表された、「DJI O4 グラウンドステーション」を参考出品していた。

写真:DJI JAPANの展示ブース
DJI JAPANのブース。

進化したLiDAR「Zenmuse L3」、測量分野で高まる注目

 建設・測量分野の展示会ということもあり、DJI JAPANのブースでは、近年、土木・建築業界での利用が増えているDJI Dock 3とZenmuse L3に多くの来場者の関心が集まっていた。特にZenmuse L3は昨秋発売されたジンバル一体型のLiDARで、これまでDJIがZenmuse L1、Zenmuse L2と二代にわたって進化させてきた、小型LiDARのシリーズをブラッシュアップしたものだ。

「UAV用LiDARが数千万円する中で、数百万円で導入できるZenmuse L1は画期的だった一方で、その性能はエントリーモデルと捉えられていた。その後、ユーザーの声を受けてL2で改良を加え、大きく性能を引き上げたのがL3」(説明員)だとしている。特にレーザーのスポット径を絞ることでビームが遠くまで届くようなるのと同時に、最大リターン回数が16となることで透過性が大幅に向上。また、1億画素のカメラを2個搭載することで、レーザー計測と同時に収集するRGBデータの解像度も大きく高められているとしている。DJI JAPANのブースでは連日Zenmuse L3のユーザーによる事例セミナーとして、同機を用いた公共測量の成果などのデモンストレーションが行われていた。

写真:Zenmuse L3
昨秋にリリースされたZenmuse L3。
写真:DJI FlightHub 2画面上に表示されたZenmuse L3で取得したデータ
写真:DJI Terraで処理したZenmuse L3の取得データ
Zenmuse L3で取得したデータをPCソフト「DJI Terra」で処理した例をモニターで示していた。

山間部の通信課題に対応する「DJI O4 Ground Station」を参考展示

 DJIのエンタープライズ向けマルチペイロードドローンであるMatrice 400のコーナーでは、同機とそのアクセサリーなどが並んでいた。実はその中に会期前日に発表されたばかりの「DJI O4グラウンドステーション(以下O4 GS)」が展示されていた。

 同機は一見するとDJIの「D-RTK 3多機能ステーション」に姿が似ているが、その用途は似て非なるものである。D-RTK 3はそれ自体が測位の基準局となり、機体の測位制度を高めるのと同時に、日本では法規制上使えない「リレーステーションモード」で地上のコントローラーと機体の間で通信を中継する機器であった。一方O4 GSは“グラウンドステーション”の文字通り、インターネットに接続したコントローラー(送信機・プロポ)やPC用GCSである「DJI FlightHub 2」との通信を、地上基地局としてやり取りするための機器である。

写真:展示された「DJI O4グラウンドステーション」
発表されたばかりの「DJI O4グラウンドステーション」。

 近年は地上のコントローラーと機体間の通信にモバイル通信が用いられることが増えているが、山間部をはじめとして携帯電話サービスのサービスエリアがカバーしていない不感地帯では利用できない。特に測量や調査、点検といった用途でドローンが利用されるシチュエーションは、まさにこうした山間の不感地帯であることが少なくない。もちろん、モバイル通信のサービスエリア外であっても、コントローラーやDJI DockシリーズのようなドローンポートとDJIのOcuSyncのような直接波で通信することは可能だ。しかしその通信距離は長くても数kmと限られるほか、DJI Dockから見て機体が山影に隠れると通信できなくなることもある。

 O4 GSはこうしたシチュエーションにおいて、あらかじめ機体が飛行するエリアの直下に設置しておくことで、直接波のカバーエリアとモバイル通信のサービスエリアがカバーできない不感地帯を埋めることができるというものだ。「山間での長距離飛行の需要は高く、それを何とかできないかということで開発された」(説明員)という。

写真:「DJI O4グラウンドステーション」の上部
写真:「DJI O4グラウンドステーション」の下部
堅牢な筐体は高いレベルの防水防塵、耐雷性能が与えられている。
写真:「DJI O4グラウンドステーション」下部のEthernet(PoE)ポート
写真:「DJI O4グラウンドステーション」下部のEthernet(PoE)ポート
本体下部側面の両側に設けられたEthernet(PoE)ポート。電源もこのポートから供給する。

 O4 GSには円筒形の本体と4本のアンテナ部に、合計12本のアンテナを垂直、水平方向に配置しており、最大で30kmの通信距離を実現。IP67の防塵防水性能とともにEN/IEC 61643-21 Category C規格に適合する雷保護性能を備えている。本体の側面にはWANとLANのEthernet(PoE)ポートを備えており、電源はこのポートから供給する形となる。

 現時点では基地局として作動するゲートウェイモードではDJI Dock 3のみに対応とのこと。O4 GSを利用するシチュエーションについて尋ねると、「山間の高圧送電線の点検のようなケースで、あらかじめ複数の鉄塔にこのO4 GSを設置しておくことで、拠点となるDJI Dock 3から離陸したMatrice 4Dが、送電線に沿って点検のための撮影を長距離にわたって行うことができる」(説明員)としている。

写真:展示された「Matrice 400」とアクセサリー
写真:インテリジェントバッテリーステーション
DJIの産業用途向けの最新主力機「Matrice 400」とアクセサリー。
写真:展示された「Matrice 4」シリーズ
産業用小型ドローン「Matrice 4」シリーズ。
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