9月24日から25日の期間、「第4回ドローンサミット」が愛知県の「ポートメッセなごや」で開催。農薬散布用ドローン「AC102」などの開発・製造・販売で知られるNTT e-Drone Technology(NTTイードローン)が出展した。

 2025年7月には、ブルーイノベーションと販売パートナー契約を締結し、屋内点検用球体ドローン「ELIOS 3」の取り扱いを開始。これにより、農業・点検・警備・防災といった幅広い領域で多様なドローン販売を展開している。

Parrot製「ANAFI UKR GOV」を日本初披露

 第4回ドローンサミットでは、仏Parrot社製の新型機「ANAFI UKR」を国内で初公開した。

写真:展示された「ANAFI UKR」(左前方)
ANAFI UKR。アームを展開した際の寸法は665×350×116mm。重量は957g。


 同機は、かつて日本でも販売された「ANAFI USA」の後継モデルであり、名称にある“UKR”はウクライナを示し、情勢下での防衛・偵察任務向けに設計されたモデルをベースとしている。日本市場では、主に警備・災害対応・公共安全分野での活用が想定されている。

写真:展示された「ANAFI UKR」(右後方)
ANAFI UKRを右後ろから撮影。最大離陸重量は1450g。防塵防水はIP53に対応する。

 カメラモジュールには、35倍デジタルズーム対応カメラと、米FLIR社製「BOSON」サーマルカメラを搭載。サーマルカメラは32倍ズームに対応し、-40〜250℃までの温度検知が可能だ。遠距離から火災現場や被災地を観察し、被写体の熱量を数値データとして取得できる。また、「カーソル・オン・ターゲット(Cursor on Target)」機能を搭載。送信機上で画面をタップすることで、対象物の座標を即時に取得・共有できる仕組みだ。捜索救助(SAR)や被災者検知などのシーンで、有効な位置情報連携が可能となる。

FIPS140-2準拠の暗号化ストレージ 高い情報保護性能

 軍事向けをベースにしていることから、情報セキュリティ面でも強化が図られている。画像データを保存するSDカードはAES-XTS方式による暗号化に対応し、米国国立標準技術研究所(NIST)のFIPS140-2規格に準拠。これにより、機密性・完全性の高いデータ運用が可能となる。

 日本で販売される機種は「ANAFI UKR GOV」として展開され、公的機関での導入を主眼に置きつつ、一般企業でも利用可能な仕様として提供される。

長時間飛行を可能にする有線給電システム

 ANAFI UKR GOVの最大飛行時間は38分と、従来の機種(32分)から約20%延長された。さらに、Parrot社のエコパートナーが開発した有線給電システムを組み合わせることで、最長約4時間の連続飛行が可能になる。

 担当者によれば、「日本での需要動向を見ながら導入を検討している」とのことで、係留状態での運用となるため飛行承認手続きの省略が可能であり、雑踏警備やイベント監視など長時間運用が求められる現場での需要が高まりつつあるという。

販売網の強みを生かし、公共・自治体市場へ展開

 NTTイードローンが「ELIOS 3」や「ANAFI UKR GOV」など、異分野の機体を積極的に取り扱う背景には、全国の自治体・警察・消防などとの強固なネットワークを生かす狙いがある。NTTグループとしてのインフラ・通信連携基盤を活用し、各地の公共機関や防災関連組織に対して、“現場で使える産業用ドローン”の導入支援を進めていく考えだ。

写真:展示されたNTTイードローンが取り扱うドローン
NTTイードローンが取り扱う機体がラインナップ。手前からSkydio2+、Skydio X10、ELIOS 3。

 ブース内ではこのほか、Skydioのドローンや、農業分野での鳥獣害対策ソリューションも紹介された。後者は、ドローンから赤と緑のライトをランダムに点滅させて鳥獣を威嚇・追い払うもので、実証実験では養鶏場周辺のカラスが1か月で80羽からゼロに減少する効果が確認されたという。

写真:ELIOS 3と鳥獣害対策ドローンを紹介するパネル
ELIOS 3や鳥獣害対策ドローンに関するパネルが展示された。

 NTTイードローンは、農業・点検・防災・警備といった社会インフラ分野を中心に、ドローンの“現場実装”を加速させるハブ企業として存在感を高めている。「ANAFI UKR GOV」はその中でも、安全保障・公共安全の領域に踏み込む新たなポジション機として、今後の展開が注目される。

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