9月24日から25日の期間、「第4回ドローンサミット」が愛知県名古屋市港区の「ポートメッセなごや」で開催。重工業大手のIHIは、ガスタービンエンジンを搭載した大型ドローンの研究開発を進めている。目標は、最大重量1tの荷物を積載し、航続距離1000kmを実現する次世代物流ドローンの実用化だ。
会場では、ペイロード360kgを想定した機体の内部レイアウト模型(60%スケール)が展示され、来場者の注目を集めた。
ガスタービンで“バッテリーの壁”を突破
模型では、機体中央下部に貨物室、その上に燃料タンク、最後部にガスタービンエンジンが配置される構造が紹介された。
IHIの担当者は、「現在の空飛ぶクルマや大型ドローンはバッテリー駆動ですが、エネルギー密度が低く、航続距離の延伸に限界があります。そこで、バッテリーの代わりにガスタービンエンジンと発電機を組み合わせ、単位重量あたりのエネルギーを高めて航続距離を伸ばす構想です」とガスタービンエンジン採用の狙いについて解説した。
会場では、研究成果の一つとしてエンジン内蔵型発電機も展示された。
通常のジェットエンジンが推力(航空機を前に進めようとする力)を生み出すだけなのに対し、この発電機は推力の一部を電力に変換し、機体システムやモーターへ供給できる。現行のジェットエンジンは高圧軸と低圧軸の2軸構造を持つが、IHIは高圧軸に加えて低圧軸からも電力を取り出し、エネルギー効率を高める設計を検討している。
ハイブリッドパワーパックで長距離輸送を実現
IHIは、ガスタービンエンジンとモーターを組み合わせたハイブリッド型パワーパックの開発も進め、ドローンへの採用を検討している。
有人航空機では数十MWの出力を持つエンジンが搭載されるが、ドローンでは500kW〜1MW程度の小型パワーパックを採用予定。発電した電力を各プロペラに供給し、軽量・高効率な電動推進を実現する仕組みだ。
担当者によると、「回転数を維持しつつ小型化を進めるのが今後の課題」とのこと。完成後のドローンは全長15m程度となる見込みで、町中での離着陸ではなく、トラックターミナルや工場などの物流拠点間輸送を主な用途として想定している。
大型物流ドローンとしての運用を視野に入れた構想は、空飛ぶクルマ以上に産業へ活用が可能な機体として注目できる。
ターボ技術の応用で次世代航空機へ
ブースでは、もう一つの研究成果としてエネルギー回収電動ターボユニットも展示された。
これは、排気ガスの力で吸気密度を高めるターボチャージャーにモーターアシストを組み合わせた装置で、効率的な空気供給を可能にする。将来的には、燃料電池航空機での空気共有システムにも応用が期待されるという。このユニット内部には遠心圧縮機が組み込まれており、その技術を転用してドローン向け小型ガスタービンエンジンの開発も検討中だ。
また、会場では空飛ぶクルマの搬送システムや、立体駐車場を活用した離着陸場構想のパネル展示も行われ、ガスタービンユニットを軸にした総合的な空のインフラ構想が披露された。
IHIは、長年培った航空エンジン技術を背景に、エネルギー効率・航続性能・安全性のすべてを兼ね備えた新時代の空のモビリティを目指す。ガスタービンという“重工のDNA”を再定義し、空の物流革命へ挑むIHIの研究は、いよいよ実用段階に近づいている。
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