写真:エアロボウイングなどが展示されたエアロセンスのブース

 9月24日から25日の期間、ポートメッセなごやにて「第4回ドローンサミット」が開催された。国産ドローンメーカーのエアロセンスは、VTOL(垂直離着陸)型ドローンの新モデル「エアロボウイング(AS-VT02K)」を展示。併せて、同社が2025年4月から東京都・式根島を中心に取り組んでいる「東京宝島チャレンジプロジェクト」についても明らかにした。

VTOL型ドローンの性能を強化、第二種型式認証を目指す

 エアロセンスは、滑走路を必要とせず長距離飛行が可能なVTOL型ドローンの開発を手がける。

写真:会場に展示されたエアロボウイング
従来モデルから飛行性能を向上させたエアロボウイング(AS-VT02K)。

 同社の従来機「エアロボウイング(AS-VT01K)」は、2024年6月にVTOL型ドローンとして国内初の第二種型式認証を取得した。展示された新モデルAS-VT02Kは、それを改良して機能強化を図っている。ペイロードは従来の1kgから1.6kgに増加し、最長飛行距離は50kmから70kmへと向上している。さらに、最も大きく変わったのがドローンを持ち運ぶ際に、胴体と左右の主翼の分割に加え、ローターアーム部分を切り離せるようになったことだ。これによって、収納ケースのサイズを小さくすることに成功した。そしてAS-VT01Kに引き続き、第二種型式認証の取得を目指している。

写真:エアロボウイング

「東京宝島チャレンジ」で離島物流を推進

 同社が参画する「東京宝島チャレンジプロジェクト」は、東京都が島しょ地域の振興を目的に実施している地域活性化支援事業。特徴的なアイデアを持つ事業者を公募し、事業化を支援するものである。

写真:VTOL型ドローンによるサービス案内パネル(測量、巡視・点検、災害対応、物資輸送)
物流のほか、測量、巡視・点検、災害対応の地域課題の解決に取り組む。

 エアロセンスは2024年に式根島を中心に、隣接する新島との間でVTOL型ドローンによる物流サービスを提案し、このプロジェクトに採択された。現在は約8kmの海上区間での物資輸送に加え、ドローンを活用した測量、港湾の巡視点検、観光PR用空撮、災害時の上空情報収集など、多目的な運用を計画している。

 また、この取り組みはエアロセンス単独の事業ではなく、式根島・新島両島の「エリアマネジメント法人」が主体となって地域運営型での事業化を目指しており、すでに3名のドローンパイロットが現地で訓練を受けているという。

さらなる高性能機も開発中、離島課題の解決へ

 エアロセンスは現在、災害救援用途を想定した大型VTOL型ドローン「AS-H1」の開発も進めている。この機体は最大10kgの貨物を搭載し、120kmの長距離飛行が可能になる見込みだ。完成後は、「東京宝島チャレンジプロジェクト」への投入も検討している。

 プロジェクトは来年度まで継続予定だが、エアロセンスの担当者は「この取り組みを式根島・新島だけで終わらせるのではなく、今後、他の離島や地域課題の解決にもドローン技術を役立てていきたいと考えています」と展望を語った。

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