2025年9月24日から25日の期間、愛知県のポートメッセなごやで「第4回ドローンサミット」が開催された。マゼックスは、新型の高ペイロード運搬用ドローン「軽助55」を公開した。

写真:会場に展示された「軽助55」
「軽助55」は、RTKによる自動航行機能や、2オペレーションでの運用を可能にするスイッチング機能を備えている。


 同機は最大積載重量55kgを実現した大型ドローンで、林業・農業・建設・災害復旧など、物資輸送を伴う幅広い分野での実用化を見据える。

最大離陸重量110kg、短時間で大量輸送を実現する性能

 軽助55の機体寸法は軽助55の機体寸法は全長2,090mm、全幅800mm、高さ970mm→軽助55の機体寸法(展開時)は全長2,090mm、全幅2,270mm、高さ780mm。6基のプロペラを搭載するパワフルなヘキサコプター構造で、最大離陸重量は約110kg。バッテリー2本を使用し、荷物を積載していない状態の飛行時間は26分となる。
 国産機としては数少ない重量物運搬ドローンでありながらも、価格は385万円~(税込み)に抑え、コスト的にも導入しやすい機体となっている。なお、2025年7月から販売を開始しており、すでに複数の企業で導入が始まっているという。

写真:2本のバッテリー
「軽助55」用のバッテリー。残量表示などもあり使いやすさを向上させたという。

「飛助」から「森飛」へ、そして「軽助」へ――技術進化の系譜

 マゼックスは2016年、農業用ドローン「飛助」を発売し、農薬散布を中心とする農業分野でのドローン普及を牽引してきた。その後、2019年には住友林業と共同で林業における苗木の運搬等の物資搬送を目的としたドローンの開発に着手し、2021年には林業用苗木運搬ドローン「森飛」を発表。急斜面や道の未整備などによって人の立ち入りが難しい森林整備現場での苗木や資材の運搬を効率化した。

 苗木や資材の運搬を目的とした森飛シリーズは、機体の下部に荷物を吊り下げて運搬する形式を採用している。輸送中には、ドローンの動きや風によって積載物が揺れてしまい、ドローンの姿勢が崩れてしまう恐れがある。それを解決するため、マゼックス独自の共振防止装置を開発し特許を取得。また、物資が地上に到達すると自動で荷物を切り離す“自動切り離し装置”も搭載している。

 これらの技術は、軽助55にも引き継がれており、大型物資の安定輸送と自動荷降ろしを実現している。

最大積載量は従来比2倍、林業を超えて新たな市場へ

 森飛シリーズは、最大搭載重量15kgの「森飛15」と、25kg対応の「森飛25」の2機種を展開している。今回発表された軽助55は、最大搭載重量を従来比で2倍以上に拡大。より大型の苗木コンテナや建設資材、食料・飲料などの物資を一度に運搬できる。

 これにより、林業用途にとどまらず、農作物搬送、建設現場での小型資材運搬、災害時の緊急物資輸送など、多様な産業分野での活用が期待される。

 担当者は、「同クラスの物資輸送用ドローンは海外製が多く出回っていますが、国内製造の強みはアフターサポートと部品供給の継続性にあります。長期にわたりパーツを確保できるため、導入後の運用コストやメンテナンス面でも優位性があります」と説明した。

 このコメントが示すように、軽助55は単なる大型化ではなく、国産メーカーならではの信頼性・運用安定性を重視した設計が特徴だ。

 マゼックスは農業分野で培ったドローン技術をベースに、林業、さらには物流・災害支援へと応用領域を拡大している。今回の軽助55は、その集大成ともいえるモデルであり、国産大型ドローンの実用化を加速させる重要な一歩となるだろう。

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