Drone Japanは総合企画、販売元、サービス運営を担当
3社合同で開発したDOP SUITEは、ドローン・ジャパンが総合企画、販売元、サービス運営を担当。パナソニック システムデザインはクラウドアプリケーション開発。GMOグローバルサイン・ホールディングスはクラウド管理をそれぞれ担当している。
DOP SUITEは飛行時におけるリアルタイムの状況を把握するUTM(運航管理システム)とは異なり、飛行後の機体ログを集めて解析するクラウドサービスだ。本サービスは2024年4月16日からソフトウェアライセンスの提供が行われている。
主な機能は機体情報、飛行レポート、機体アラート、機体ログデータ管理、ファームウェア管理などの機体管理に加え、オペレーター管理、サポート連携機能がある。
DOP SUITEの実用性
DOP SUITEはドローンのフライトコントローラーから取得したログデータをPCでアップロードし、アップロードされたログデータはクラウド上で解析され、飛行回数、飛行時間、機体の状態などのサマリーが表示される仕組みになっている。
型式認証を取得した機体は一定の飛行時間ごとにメンテナンスが義務付けられているが、DOP SUITEはこれに対応している。例えば50時間の飛行後にメンテナンスが必要な場合であれば、DOP SUITEは飛行時間が50時間に近づいたらメンテナンスを行うようにユーザーに通知する。このため、機体メンテナンスの頻度を自己管理せずとも把握でき、すべてのドローンにおいて機体の管理を忠実に行うことができる。
また、DOP SUITEはただ飛行ログを取得するだけではなく、実際の運航状況を適切に反映したログを取得可能だ。例えば、横風が吹いていない時などは従来機体が想定している目標ロールと実際のロールはほぼ一致する。しかし、風の影響等により目標ロールと実際のロールにズレが生じたり、機体に対する異常が発生したりする場合は黄色のアラートが出力される設計だ。これによって、「このルートを通ると常に風の影響が出る」といった危険予測などにも使用でき、機体開発においては、「この向きからの風に弱い」など機体の特性を分析することもできる。
アラートは風の影響によるものだけではない。機体に一番悪影響を与えると言われる振動等の解析も可能だ。機体の歪みやネジの緩みを検出したときに出力され、ドローンにとって重要な異常を検出する。ユーザーはアラートを確認することで、必要なメンテナンス内容を速やかに把握した上で適切な対応までスムーズに行えるだろう。
DOP SUITEのサポート体制
通常、ドローンをメーカーへ修理等に出す場合、ユーザーとメーカーの間に代理店が介在することで修理等に必要な情報共有が滞ってしまうことがある。
DOP SUITEはこの問題を解決する、サポートメール機能が搭載されている。DOP SUITEの各画面の左下にあるサポートメールボタンを押すと、メッセージ入力欄が出力され、そこに修理したい理由やポイント等を記入するだけで解析ログと共に情報共有できるため、修理等の対応が非常にスピーディーだ。
ドローン・ジャパン取締役会長 春原久徳氏はサポートメール機能について「機体のログとメッセージがサポートセンターに直接届いて状態が分かるため、対応が迅速かつ的確になる仕組みが取れるようになる。従来では、電話などで機体の異常状態を説明し、原因が分からずに代理店やメーカーなどでたらい回しにされてしまうケースがあったが、これを解消することができる。サポートメール機能はどちらかというとユーザー向けではなく、機体メーカーの年間サポート料金に含まれる形で提供する形を取っている」と説明した。
春原氏はサポートメール機能に次いで、API機能の解放や、東京海上日動保険と提携したDOP SUITEを利用するユーザーへの保険料割引の適用などについても解説した。
保険料割引適用の理由として、DOP SUITEが提供するログデータ解析機能により、ドローンの運用状況や異常の詳細な記録が可能となり事故が発生した際の原因究明が迅速かつ正確に行えるため、保険会社にとってもリスク管理が容易になるためとのことだ。
飛行ログや機体の状態、アラート情報などが詳細に記録されるため、事故の原因が操作ミスや機体の故障など、どのような要因によるものかを明確に特定できるため、透明性と信頼性の向上により、東京海上日動保険はDOP SUITEを利用するユーザーに対して、通常の保険料よりも低廉な保険料の提供に成功した。
春原氏はDOP SUITEの対応方針について「今後はArduPilotを採用する他のドローンメーカーへの対応も進めるほか、ドローンだけでなく、将来的にはロボットなど他の機体にも対応を予定している。建設機械や農業機械なども今後はさらにロボットが普及していくため、ある種のプラットフォームとして利活用されるサービスを目指していきたい」と語った。
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