TPホールディングスは、測量機器の販売やそれを使ったサービスを提供する企業であり、新たにドローン搭載用LiDARユニット「LiAir H800」の取り扱いと3Dプリンター事業を開始した。同社の新製品とサービスについて紹介する。
「LiAir H800」の新発売でさらに高精度測量が可能に
TPホールディングスは、レーザー測量を目的とした国産ドローン「Sky-Mapper MarkⅡ」を販売している。このドローンは、石川エナジーリサーチの「BuildFlyer Chrome」の筐体を使用しているが、中身は完全に自社開発している。具体的には、フライトコントローラーやスキッドの設計、PC通信用モデムの追加などを自社で行い、操縦レスポンスや使い勝手の向上を実現している。
Sky-Mapper MarkⅡには、グリーンバレー・インターナショナル社の「LiAir X3C」や「LiAir X3」といった搭載用LiDARユニットが販売されている。今回、新たに「LiAir H800」の取り扱いも同社で開始した。
H800はこれまでの2機種の上位製品の位置付けである。測量時の推奨飛行高度はX3Cが80m、X3が120mだが、H800は250m。さらにはリターン数が無制限で設定でき、高精度なデータ取得が可能だ。また、2600万画素のカメラを内蔵し、高度200mで4.7cmの解像度の画像を取得できるため、高品質なカラー点群を生成する。
さらに、近年注目される災害対応において、Sky-Mapper MarkⅡは30倍ズームカメラの搭載や、機体とカメラの操縦を分担する2オペレーションでの運用も可能である。
ミッションプランナーでの飛行設定
「Sky-Mapper MarkⅡ」の飛行はミッションプランナーで設定する。ミッションプランナー上でキャリブレーションから飛行高度、飛行速度、オーバーラップまで細かく行える。さらに、飛行ルートは飛行エリアの範囲を指定するだけで簡単に自動生成されるため、飛行設定は難しくない。障害物への対処や撮影方向の設定などの運用ノウハウも比較的容易に習得できるので、企業内での導入が増加傾向にあるという。
低価格ながらも短時間での造形物生成を実現
また、TPホールディングスは新たに3Dプリンターの取り扱いも開始した。ドローンで取得した地表の点群データを基に3次元化した樹脂製造形物を出力することが可能である。従来の3Dプリンターでは、造形物の出力まで多くの工程を経る必要があったが、新たに取り扱いを開始したBambu Labの3Dプリンターは、ラフデータから直接SPIデータに変換するため、取り扱いが簡単で生成時間も非常に短縮される。さらに、価格も本体やソフトウェアなどを合わせても100万円以下で導入可能である。
TPホールディングスは、3Dプリンターによる造形物の使用例として、過去に生成した造形物を展示していた。車1台分の道幅しかない断崖絶壁の場所を3次元モデルの造形物化し、雨水の流れる場所及び溜まる場所を可視化した。これによって土砂災害の防止に役立てたという。また、そのほかに市役所など行政へのアウトプットという使い方もある。PC上のデータでやり取りする場合、3Dデータを確認する専用ソフトや高性能なPCの導入が不可欠である。しかし、造形物をデータと一緒に納品すれば、手元で地形などの詳細を確認でき、外部との議論が容易になるという。
また、従来の3Dプリンターは複雑な工程を踏む必要があり、1つ出力するために数十時間~数日を要していたがBambu Labの3Dプリンターによって数時間で造形物が完成する。TPホールディングスはドローンによるレーザー測量に加えて、3Dプリンターの造形物生成も請け負い、これによって総合的なサービスを提供している。
TPホールディングスは、最先端の技術を駆使し、測量と3Dプリンティングの分野で新しい可能性を開拓し続けている。これからも、その革新的な取り組みに注目が集まることであろう。
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