さまざまなドローン関連ソリューションとサービスを提供しているJDRONEは、2024年7月から始めた「物資輸送ドローン運用サービス」を中心に、火山調査や森林調査といったサービスと、同社で扱うドローンを展示していた。

大型マルチコプターからシングルヘリまで多様なソリューションで対応

写真:JDRONEの展示ブース

 JDRONEでは東京電力福島第一原子力発電所を中心とした「放射性物質の分布状況等調査による無人ヘリモニタリング」事業に参画。ヤマハ発動機の無人ヘリコプター「FAZER R G2」を使って、広範囲の放射線量調査を行ってきた。同機はローターをガソリンエンジンで駆動し、飛行時間が100分と電動機に比べてとても長い時間飛行することが可能。また、ペイロードも33kgと大きく、約10kgの放射線検出器以外にもさまざまなペイロードを搭載することができる。さらに、地上からの飛行する機体のコントロールは、モバイル通信に加えて衛星通信が利用可能となっている。

 こうしたFAZER R G2の特徴を生かせば、大規模災害が発生した際、モバイル通信網が途絶したようなエリアにおいて、長距離、長時間の飛行が可能。JDRONEではこうした同機の特徴を、大規模災害時の情報収集や物資輸送に活かすことができるとしている。また同社では、今年1月にDJIからリリースされた「FlyCart 30」を導入。同機は30~40kgというペイロード性能を持つマルチコプターで、ウインチを使って荷物を吊り降ろすことができるため、着陸が困難な狭い場所に物資を届けることができる。

写真:FAZER R G2の外観
ヤマハ発動機の「FAZER R G2」。メインローター直径が3mを超える無人ヘリコプターで、33kgの荷物を搭載することができる。
写真:FlyCart 30の外観
ローター対角2200mmというサイズが、隣の無人ヘリに勝るとも劣らない存在感を放っていたDJIの「FlyCart 30」。

 JDRONEでは長距離・広範囲における活動ではFAZER R G2、短距離ではFlyCart 30と、これら2つのドローンを組み合わせて、物資輸送サービスを提供。本展示会はもっぱら危機管理をテーマにしているため、大規模災害時での活用を想定しているが、それ以外にも山岳地帯や道路が整備されていないような山林にある建設や植林の現場、山小屋への物資輸送も提案している。

「今年、地震や豪雨災害に見舞われた能登半島のような被災地に、迅速にこれらの機材を持ち込むことで、現状把握の調査や物資輸送が可能になる」(説明員)といい、「平時からドローンをこうしたエリアの近くに配備し、災害時を想定したシミュレーションや訓練を行っておくことが大事」(説明員)だという。この物資輸送ドローン運用サービスは、JDRONEのオペレーターがドローンの運航を担うことになっているが、自治体が無人ヘリやドローンを導入した場合は、適切な訓練を実施することもできるとしている。

写真:投下装置とスピーカーを搭載した「Matrice 300 RTK Rescue」の外観
DJIのMatrice 300 RTKに、JDRONEが開発した投下装置とスピーカーを搭載した「Matrice 300 RTK Rescue」。夏の茅ヶ崎海岸でビーチパトロールを支援するために開発され、その後、神奈川県内の5つの消防組織に導入されている。

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