2024年10月8日、エアロネクストとモンゴルのNewcom Groupは、Newcom GroupのMSDD(Mongolia Smart Drone Delivery)運航チームにより、2024年9月16日に実施された国立輸血センターとモンゴル国立医科大学付属モンゴル日本病院(以下、モンゴル日本病院)間のドローンによる緊急対応の血液輸送により、2人が救命されたことを発表した。

 当日、日本モンゴル病院から手術用の血液が足りないとの緊急連絡を受け、輸血用血液を物流専用ドローン「AirTruck」で片道4.75kmの距離を約13分で配送した。

写真:ドローンとその離陸準備をするスタッフ
輸血用血液を緊急配送するため離陸の準備をするMSDDスタッフ(国立輸血センター)
写真:駐車場のような場所の上空を飛行するドローン
輸血用血液を載せ離陸した物流専用ドローンAirTruck(国立輸血センター)
写真:屋上に到着したドローン
輸血用血液を載せたドローンが病院屋上に着陸した様子(モンゴル日本病院)

 モンゴルの慢性的な渋滞や脆弱な道路インフラは、医療分野の物資輸送でも大きな課題となっている。

 2023年11月、エアロネクストとNewcom Groupは、今回緊急輸送を行った国立輸血センター、モンゴル日本病院間で自動航行による飛行を実施。同飛行は、日本でのレベル4(有人地帯における補助者なし目視外飛行)に該当する、第三者上空における自動航行で行った。

 同日両社はモンゴルにおけるドローン物流サービスの事業化に向けた連携について基本合意したことを発表。エアロネクストの戦略子会社NEXT DELIVERYの運航チームが、数か月間にわたりMSDDの運航スタッフを日本で実地トレーニングし、遠隔パイロットとして育成した。また、NEXT DELIVERYの運航スタッフが現地でのトレーニングとスキルチェックを複数回行い、MSDD単独での運航体制の構築を進めてきた。

 MSDDは、2024年6月にモンゴル国民間航空庁(MCAA)からドローンの商用飛行ライセンスを取得し、8月より国立輸血センターから市内3つの病院(日本モンゴル病院、アムガラン病院、第一母子センター)への血液のドローン配送の実運用を開始している。

 緊急対応だけでなく、救急車両などを利用した輸血用血液の配送の一部をドローンに置き換える定期的な運用も実施しており、これまでに50フライト(8月から9月末まで)を行っている。