128倍ズームとサーマルカメラで過酷環境下の点検を実現する「Skydio X10」

写真:NTTコミュニケーションズの展示ブース
写真:Skydio Dockの外観。ドックの上にはSkydio 2+が載っている。
Skydio Dockを設置。docomo businessのステッカーも貼られている。

 NTTコミュニケーションズのブースでは、米・Skydio社の最新ドローン「Skydio X10」と、ドローンポートである「Skydio Dock」が目を引いた。Skydio X10の展示には力を入れており、最大128倍ズームを活用した詳細な点検、暗所での自律飛行、防塵・防水対策が施され過酷な環境下でも使用可能なこと、絶対温度での検測が可能なサーマルカメラを搭載していることがパネルにまとめられていた。

Skydioのドローンを紹介するパネル。展示されたSkydio 2+とSkydio X10。
従来機のSkydio 2+と新型のSkydio X10を展示。Skydioのドローンが得意とする巡回や点検での利用方法がパネルで紹介された。

 NTTコミュニケーションズは、2022年11月、日本で初めて携帯電話の通信回線を使用するセルラードローンの検証に、Skydioの機体を使用して成功している。Skydio X10も2024年にセルラードローンとして市場に投入するべく、Skydio社と調整を進めていることも発表された。担当者はSkydio X10が従来機のSkydio 2+から改善された部分として、防水規格のIP55に対応したことをアピール。サーマルカメラも搭載しているので、消防などにも提案をしていきたいと答えた。

大和ハウス工業と物流施設の点検効率化を目指す無人巡回の実証実験

 Skydioの機体によるユースケース展示で目を引いたのは無人巡回に関する取り組みだ。大和ハウス工業と実証実験を進めている協業事例では、物流施設の点検時間が約3割削減されたことが紹介された。自動充電が可能なSkydio Dockを飛び立ったSkydio 2+が施設内を撮影。画像をAIで解析し、自動で点検報告書を作成したり、異常発生時には通知をしたりする仕組みを構築している。また、大林組との協業事例では建設現場にて平日夜間にドローンが自動巡視。3か月で56回飛行してデータを取得し、現場の3Dモデルも形成した。2024年度の本格運用を目指しているという。

 担当者は「建設コンサルタントや自治体を中心に引き合いがあります。今回お話が多いのは太陽光パネルの点検です。年次で点検が必要だけど、人が行くのはやや危ないといったケースで使用したいという問い合わせを受けています。点検で撮影した画像をもとにエラーが発生している場所を提示するAIを活用したソリューションも用意をしています」と話す。

 Skydio社のドローンは国内各社が取り扱うが、NTTグループはSkydio社が公式認定するマスターインストラクターを多く抱えることが大きな強み。これを活かし、今後も国内でのSkydio X10の普及を続けていく。

デジタルツイン技術「CupixWorks」と360度カメラとドローンによるデータ収集方法

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デジタルツインプラットフォーム「CupixWorks」も出品。360度カメラを棒に取り付けて撮影する。

 ドローン以外では、現実世界をサイバー空間内に再現するデジタルツイン技術の展示が目を引いた。NTTコミュニケーションズは2024年3月、韓国・Cupix inc.が開発する3Dデジタルツインプラットフォーム「CupixWorks」の日本総代理店契約を締結した。CupixWorksは360度カメラを使用して現場を撮影。CupixWorksにインポートすると、360度視点の「3Dウォークスルー」や俯瞰した視点で現場が見られる「3Dドールハウス」といったデータを生成する。現場全体をサイバー空間上でチェックし、作業の進捗状況の確認や問題点の早期検出が可能になる。

 基本的には360度カメラに棒を取り付け、手持ちで撮影してインポート用のデータを集めるが、海外ではドローンに360度カメラを備え付け、地下に掘った穴などの上空を飛行してデータを収集した事例もあるという。CupixWorksは現場のデジタルツイン作成を検討している事業者にとって、検討する価値のあるプラットフォームといえそうだ。

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