Liberaware(リベラウェア)は2024年7月24日から26日にかけて東京ビッグサイトで開催された「メンテナンス・レジリエンス TOKYO 2024」の一部である第10回国際ドローン展に参加した。展示では、狭小空間専用の点検ドローン「IBIS2」のデモンストレーションを行うとともに、鉄道環境向けの点検ソリューション「Project SPARROW」を紹介した。

写真:IBIS2の機体。奥にはモニターが写る。
設備点検だけでなく、災害復旧支援にも活躍するIBIS2

 IBIS2は外形寸法が194mm×198.5mm×58mmと産業用ドローンとしては小型で、従来は困難だった「狭く・暗く・危険な」設備の点検業務における効率性と安全性の向上に貢献する。出展ブースでは、狭いダクト内の障害物などの環境を再現したコースが設置され、IBIS2の飛行能力を実演するデモンストレーションが継続的に行われていた。

災害対応でも役立てられるIBIS2

 同社は2024年1月6日・7日、能登半島地震の被災地支援に参加した。輪島市の要請を受け、日本UAS産業振興協議会(JUIDA)と協力して現地に赴き、IBIS2の高度な機動性を活かした支援活動を展開した。倒壊した家屋の内部や、倒壊リスクが高く人の立ち入りが危険な設備内部でドローンを飛行させ、人間の目が届かない場所の状況確認を行った。この活動は、ドローン技術が災害時の安全確保と迅速な情報収集に果たす重要な役割を示す好例となった。今回の展示では、この実際の災害における支援事例も紹介され、来場者の関心を集めていた。

写真:IBIS2のデモンストレーションの様子。
狭い空間や障害物をかい潜って進むIBIS2

 担当者は、「もともと屋内点検用のドローンを開発していましたが、能登半島での活動を通じて、新たな可能性を見出しました。日本は地震大国なので、災害発生時に迅速に対応できる体制を整えたいです。能登半島では人命救助に関与するのが難しかったですが、国がそのような活動を認めてくれれば、ドローンの活躍の場が広がると思います」とコメントした。

ドローンを使った鉄道点検のプロジェクト

 コンセプトムービーなどが展示された「Project SPARROW」は、国土交通省の「中小企業イノベーション創出推進事業(SBIRフェーズ3基金事業)」の一環として採択された事業で、鉄道施設の維持管理の効率化と省力化を目標としている。このプロジェクトでは、鉄道現場の巡視業務を代替する自律型ドローンの開発と、保守管理を効率化するデジタルツインサービスを提供し、安全性の向上と人手不足の解消を目指している。

写真:Project SPARROWのプロジェクト概要、コンセプトムービーの説明文、モニターに映るコンセプト動画。
Project SPARROWのコンセプト動画も披露された

 担当者は「能登半島地震でも鉄道の損壊が見られました。Project SPARROWは、そのようなときにドローンが自動で飛行して調査を行うというコンセプトです。現在は要件定義からシステム開発を行う段階ですが、2028年には実証を完了したいと考えています」と述べた。

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