ドローンショーを手がけるレッドクリフと国営昭和記念公園は、8月8日から16日まで、同園の「みんなの原っぱ」で夜間イベント「東京 星空と光の夏祭り 2026」を開催した。500機のドローンショーを中心に、ランタンや音楽ライブ、花火、キッチンカーなどを組み合わせたイベントで、普段は入園できない夜の公園に新たな集客機会を生み出す取り組みとなった。本稿では、開幕日の8日に行われたドローンショーを中心に、会場の様子をレポートする。
夜間の昭和記念公園を光の演出で彩る
会場へはJR西立川駅から入園し、徒歩約15分。18時を過ぎると園内は次第に薄暗くなり、家族連れやカップルなどが会場へ向かっていた。みんなの原っぱに到着すると、特設ステージでは音楽ライブが行われ、ケバブなどを販売するキッチンカーには来場者の列ができていた。
会場で多くの来場者が手にしていたのが、高さ約40cmの直方体型ランタンだ。温かな色合いに光るランタンは、用意された500個が完売したという。19時から始まった「星降るランタン点灯式&リリース」では、司会の合図に合わせて来場者がランタンを放つと、淡い光が夜空へ浮かび上がった。
『スパイダーマン』と夏の風物詩を500機で描く
メインプログラムとなるドローンショーは2部構成で行われた。第1部は、7月31日に公開された映画『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』とのコラボレーション。第2部は「星空オーケストラ」と題し、夏の星座をモチーフにした演出を展開した。
第1部は19時30分ごろにスタートした。色とりどりに発光するドローンが飛び立つと、会場から歓声が上がった。音楽に合わせて夜空にクモの巣が描かれ、続いてスパイダーマンが登場。宙づりでポーズを取る姿や、劇中に登場する忍者集団「ザ・ハント」とアクションを繰り広げる様子が、ドローンの動きによって表現された。
後半には、風鈴やヒマワリ、トンボといった日本の夏を思わせるモチーフが次々と登場した。その後、2027年国際園芸博覧会の公式マスコットキャラクター「トゥンクトゥンク」が描かれ、同博覧会をPR。スポンサーであるヨード卵・光の演出では、CMに出演するお笑いコンビ「バイきんぐ」の小峠英二さんの顔が夜空に描かれた。輪郭や表情を簡略化しながらも、人物の特徴が分かるデザインとなっていた。
夏の大三角を強い光で表現
音楽ライブを挟み、20時15分ごろから第2部が始まった。会場のシンボルである大ケヤキをモチーフにした図柄が空中に現れ、10カウントの後にロケットが発射。宇宙飛行士が宇宙遊泳し、月に座るウサギと交流するストーリーが展開された。
音楽が切り替わると、夏の星座を描くパートが始まった。最初に登場したのは、こと座だ。琴をイラストとして描くとともに、実際の星座を構成する星の位置関係を光点で示した。星を表す光点には、「フラッシュ」と呼ばれる通常よりも強く発光する機材が使われており、周囲のドローンよりも明るく見えるよう演出されていた。
続いて、わし座とはくちょう座が出現。3つの星座を構成するベガ、アルタイル、デネブが光の線で結ばれ、夏の大三角が完成した。星座の形と星の位置関係を視覚的に示すことで、来場者が天体について理解しやすい演出となっていた。最後は「また夏の星空の下で」というメッセージが描かれ、ショーは幕を閉じた。
ドローンショーの終了後には、音楽に合わせて花火が打ち上げられ、イベントのフィナーレを飾った。
東京都八王子市から訪れた家族連れは、「初めてドローンショーを見ました。立体感があり、それが動いて見えるのが印象に残りました」と話した。
ドローンショーを核とした自主企画を展開
「東京 星空と光の夏祭り 2026」は、レッドクリフと国営昭和記念公園の共催によって初めて開催された。レッドクリフは各地の花火大会や夏祭りでドローンショーを手がけているが、本イベントは同社が企画段階から関わる自主企画である。
同社はこれまでにも、千葉県の船橋競馬場で2025年12月31日に開催した「REDCLIFF COUNTDOWN DRONE SHOW 2026」や、2026年4月に実施した「サクラリウム」など、音楽や飲食とともにドローンショーを楽しむイベントを展開してきた。ドローンショーを単独で実施するだけでなく、夜間の滞在や消費を促すナイトタイムコンテンツとして展開している点が特徴だ。
レッドクリフの担当者は、「立川市が後援しており、『夏の風物詩になれば』と期待されています。立川市のナイトタイムコンテンツとして育てていきたいと考えています。船橋競馬場でのイベントに比べ、今回はランタンや花火を加え、夜の空間全体を楽しめるイベントにしました」と説明する。
『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』とのコラボレーションは、足利花火大会や熱海海上花火大会でも実施された。今回の会場となった立川市は、JR立川駅周辺に複数の映画館があり、映画鑑賞との親和性が高いと判断したという。
飛行規制区域で実現した500機のショー
今回のショーに使用されたドローンは500機。船橋競馬場での「REDCLIFF COUNTDOWN DRONE SHOW 2026」で使用された2,026機と比べると規模は小さいが、その理由のひとつに会場周辺の飛行に関する複数の制約がある。
国営昭和記念公園は陸上自衛隊立川駐屯地に隣接している。7月14日に施行された改正小型無人機等飛行禁止法により、対象防衛関係施設の周囲おおむね1,000mが、ドローンなどの飛行を原則禁止する対象施設周辺地域、いわゆる「イエローゾーン」となった。また、会場周辺は立川飛行場に関する航空法上の制限表面の影響も受ける。レッドクリフは関係機関との調整や所定の手続きを経て、ショーを実施したという。
▼小型無人機等飛行禁止法の改正―飛行禁止区域の拡大と直罰化がドローン事業に与えるインパクト
https://drone-journal.impress.co.jp/docs/series/column20240507-01/1188822.html
国営昭和記念公園の通常開園時間は、夏季でも最長18時までである。今回のように、通常は利用されていない夜間に有料イベントを開催できれば、施設にとって新たな収益機会となる。ドローンショーを中心に、音楽や飲食、ランタン、花火などを組み合わせる今回の取り組みは、夜間利用の少ない大型集客施設におけるコンテンツづくりの一例といえる。
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