顧客企業の生産性向上を徹底的に推進するパーソルプロセス&テクノロジーは、人・プロセスデザイン・テクノロジーという3つの力を統合して、ドローン事業を成功に導いてきた。ドローンジャーナル編集部がパーソルプロセス&テクノロジー小野氏と前田氏にドローンビジネス市場が抱える課題や事業の成功の秘訣を聞いてみた。

左:前田晋吾氏(ビジネスエンジニアリング事業部 ICTアウトソーシング統括部 ドローンソリューション部マネジャー ドローン専門ビジネスプロデューサー)
右:小野陽一氏(ビジネスエンジニアリング事業部 ICTアウトソーシング統括部 エグゼクティブマネージャー)

ドローン事業の立ち上げで企業が直面する大きな課題

 インフラ点検や物流、災害対策など、ドローンを活用した新規事業の立ち上げを計画している企業は多い。短時間のトレーニングで簡単に飛ばせるドローンは、目視での確認が困難だった高所点検や、交通網の整備が及ばない地域への輸送、被災地の調査や支援など、新たなサービスの事業化が期待されている。しかし、その一方でドローン事業の立ち上げには大きな課題があるという。

 その課題について、パーソルプロセス&テクノロジー(以下、パーソルP&T)のビジネスエンジニアリング事業部でドローン業界向けビジネス支援を推進する小野陽一エグゼクティブマネジャーは、次のように指摘する。

 「ドローンを活用したビジネスの成長性に期待して、新しいサービスの開発や新規の事業領域の開拓に取り組んでいる企業が増えています。しかし、大手企業でドローン事業を立ち上げたものの、ビジネスとして軌道に乗せられずに苦労しているケースが多くなっています。その問題の多くは、経営者や担当部署の部長などが、時流に乗って事業化を推進したものの、立ち上げを任された担当者が具体的な事業計画やサービスを開発できない現状にあります」

 ニュースなどで華やかな事例が紹介されるドローンだが、ビジネスとしてのドローン業界は、まだ導入期にあり具体的なサービスや事業構築に関与している人材は限られている。そのため、新規にドローン事業を立ち上げようとしても、提供するサービスの品質が定まっていなかったり、ユーザーとのアンマッチなどが起こりやすい状況にある。こうした現状に対して同部の戦略グループの前田晋吾マネジャーは「パーソルP&Tの強みは、ドローンビジネスを成功させるために不可欠な『プロセスデザイン』を設計し、実際の運用まで支援する総合的なサポート体制にあります。事業立ち上げの段階から、ビジネスが成長期へと発展する運用フェーズを見据えて、最適な『プロセスデザイン』と運用支援を提供します」と話す。

大手通信キャリア、ゼネコンのドローン事業化の支援実績と生産性向上への使命感

 パーソルプロセス&テクノロジーは、総合人材サービスグループであるパーソルホールディングスのITを担う中核会社。

 同社は、ICTによる変革だけではなく、人や組織にもフォーカスして、顧客企業の成長や生産性向上を実現するサービスを提供している。ドローン業界へのサービスを提供する以前から、通信事業者や大手企業を中心に、顧客企業の課題や問題を分析して、ICTを活用した効率的なプロセス運用を実現してきた。

 その実績と経験が高く評価されて、同事業部は大手通信キャリア、ゼネコンのドローン事業化の支援に関わってきた。その実サービス提供において、最大の課題となっていたオペレーションや実運用などの「プロセスデザイン」を設計し、人的な支援も含めて事業化を全面的にバックアップしてきた。

 小野氏は「ドローンに対する当社のサービスは、アウトソーシングとシステムインテグレーション、コンサルティングなどで構成しています。ドローンの事業化を目指しているお客様は、これらの中から必要なサービスを選んでいただくことも、立ち上げから運用までを見据えてトータルでご活用いただくことも可能です。我々は、お客様のビジネスにおける”生産性向上のプロフェッショナル”として、ドローン事業をサポートします」と説明する。

ドローンビジネス構築活動の全体像:ドローンソリューションサービスは、ドローンビジネスのプロセスに合わせてクライアント企業へ様々な成果物を提供している。

ドローン事業に必要なすべてを提供できるサービスメニュー

 パーソルP&Tの提供するドローンソリューションサービスには、大きく分けて4つの項目がある。「事業・サービス開発支援」、「技術開発・実用化支援」と「販売代行、管理・運用支援」そして「標準化支援、人材開発支援」だ。これらのサービスは、同社のプロセスデザインにおける「企画開発」、「設計」と「検証」そして「運用改善」によって実現される。それぞれのビジネスフェーズに応じた、ドローンソリューションサービスでは、図のような業務内容や成果物を提供する。例えば、漠然とドローン事業をはじめようと考えている企業に対しては、顧客ニーズの理解から「企画開発」をスタートして、対応する業務の範囲や量を把握し、業務要件の定義などを作成する。「企画開発」のフェーズを経て、実際に提供できるサービスの内容が明確になってきた段階で、ドローンビジネスの設計が行われる。ここでも、単にサービスモデルを設計するだけではなく、実運用に至るフェーズを見据えて、「設計」と「検証」を丁寧に繰り返す。「検証」における実証実験や実用試験の結果を「設計」にフィードバックすることで、実運用を可能にする運営マニュアルや研修計画書などを成果物として提供する。

人・プロセスデザイン・テクノロジーでドローン事業に成功を

 一般的なドローン事業のビジネスコンサルティングでは、「設計」と「検証」が完了すれば、それ以降の「実運用」はサービス事業者が担うことになる。それに対して、パーソルP&Tのドローンソリューションサービスでは、「運用改善」もアウトソーシングでの対応も見据えて検討する。サービスを提供する人材が不足するようであれば、パーソルグループの総合力を活かして必要なリソースも提供する。

 また、PDCAサイクルを実行して、「運用」における業績や業務のマネジメントにも対応する。

 前田氏は「当社のドローンソリューション部には、ドローン業界で著名なコンサルタントや、大手企業でドローン事業の立ち上げを推進してきた人材も社員として在席し、あらゆる企業のドローンサービス実現に向けた事業化を支援できる体制を整えています。ドローンは生産性向上のツールだと捉えています。将来的に、目視外での完全自律飛行が実現すれば、これまで以上に運用フェーズを見据えたプロセス設計が求められます。我々の強みは、ビジネスが拡大する成長期をイメージして、そこにコミットする事業側と開発側、それぞれの立場にあわせたサービスを提供できる総合的なドローンソリューションサービスです」と話す。