ボタンひとつで離陸し、被写体を自動で追尾しながら“映える”映像を撮影――そんなセルフィードローンの進化が止まらない。DJIが2025年11月に投入した「DJI Neo 2」は、前モデルから操作性と安全性を大きく高めつつ、FPV飛行やジェスチャー操作といった新たな楽しみ方も取り込んだ意欲作だ。本記事では、Neo 2の進化ポイントと実際の使用感を交えながら、その魅力を紹介する。
ディスプレイ搭載で撮影モードの確認が容易に
まずはNeo 2の機体からチェックしていこう。最大の特徴は、機体右前部のプロペラ付近に小型ディスプレイが装備された点だ。ここには現在選択している撮影モードが表示される。
撮影モードは、たとえば人物を追いかけるフォローモードであれば、機体と被写体との距離を4mに保つといった設定が可能で、その内容もディスプレイ上で確認できる。飛行前に設定状態をひと目で確認できるようになり、準備のしやすさが向上した。
撮影モードの選択方法も改善されている。機体左側部には選択ボタンと飛行開始ボタンが搭載され、選択ボタンは2つ配置された。ディスプレイに表示される飛行モードを前後に行き来しながら選択できるため、目的のモードに素早くたどり着ける。さらには飛行開始ボタンが選択ボタンとは別に設けられたことで、誤操作のリスクが減った点も便利なポイントだ。
撮影モードは、人物を追従するフォローモード、被写体から後退しながら周囲の風景を取り込むドローニーモード、被写体の上空や周囲を円周飛行するサークルモードといったNeoから引き継がれたものに加え、サイクリングフォローモードやスキーフォローモードなど、動きの激しい被写体に対応するモードも追加された。合計13種類の撮影モードが用意されており、撮影イメージに合わせて選択できる。
カメラには1/2インチのイメージセンサーを搭載。縦横どちらの向きでも撮影できるため、SNS向けには縦、VLOG用には横といった使い分けが可能だ。横向き撮影では最大4K(16:9)/100fps、1080p(16:9)/100fpsに対応し、縦向き撮影では2.7K(9:16)/60fpsでの撮影が行える。
安全面でも大きな進化が見られる。Neo 2では全方位に障害物センサーが装備された。前方にはLiDAR、下方向には赤外線センサー、さらに全方向に単眼ビジョンシステムを備え、周囲の障害物を検知する。プロポを使わずに飛行できる点は大きな魅力だが、その反面、障害物に近づいた際の即時対応が難しい場面もある。障害物センサーにより危険を未然に回避できるため、より安心して撮影を楽しめるようになった。プロペラはすべてプロペラガードで覆われており、万が一障害物と接触しても、ただちに墜落する心配は少ない。
バッテリーにも改良が加えられている。Neoでは機体や充電器に装着しなければ残量確認ができなかったが、Neo 2ではバッテリー自体にインジケーターが搭載された。これにより、バッテリーマネジメントが格段にしやすくなった。
細かな設定が可能な撮影モードと実際の飛行体験
ここからは、実際にNeo 2の飛行を試してみよう。Neo 2はDJIのフライトアプリである「DJI Fly」に接続しなくても飛行可能だ。まずは接続せずに機体単体で飛行させた。
手のひらに機体を置き、フォローモードで飛行開始ボタンを押すと、英語音声で「3、2、1」とカウントダウンが流れ、その後離陸する。そして、歩いたり走ったりと周囲を移動してみたが、トラッキングが外れることなく、被写体にしっかりと追従して撮影してくれた。ドローニーモードでは、体育館の対角線を目いっぱいに使って飛行しながら撮影。画角の広いレンズが周囲の景色をほどよく取り込み、景観の良い場所で飛行させれば、印象的な映像が撮影できそうだと感じた。
次にDJI Flyに接続し、撮影モードの細かな設定も確認。飛行高度や被写体からの距離が直感的に選択でき、操作性も良好だ。フォローモードの設定画面では、被写体を中心にフォローする方向を8方向から選べるようになっており、よりクリエイティブな撮影に活用できる。なお、Neo 2の機体ディスプレイや飛行開始時に流れる音声はすべて英語だが、DJI Flyの表示は日本語に対応している。操作に迷った場合はアプリを確認すれば解決できる。
新感覚で楽しい撮影スタイル「ジェスチャーモード」
Neo 2から新たに採用された撮影スタイルが「ジェスチャーモード」だ。DJIとしては2017年に初めてDJI Sparkに採用し、セルフィードローンの使い勝手を大きく向上させた。機体に向けて手のひらを認識させ、上下左右に動かすことで機体をコントロールできる。プロポを使わず、直感的な操作が可能になる点が特徴である。
離陸した機体と正対した状態で片手の手のひらを見せると、機体左前部、被写体から見て右側に設置されたLEDが青く点灯し、ジェスチャーモードに切り替わる。手のひらを右に動かせば機体は右へ平行移動し、左に動かせば左へ移動する。
手のひらを上げると機体は上昇し、下げると下降する。なお、手のひらを上げ続けたり下げ続けたりすると、その動作が継続されるため、上昇・下降しすぎないよう注意が必要だ。
両手を使えば前後移動も可能になる。両手のひらを機体に向けたまま腕を広げると、機体は被写体から遠ざかり、腕を閉じると近づいてくる。実際に試してみると、非常に楽しい操作感だ。手の動きに合わせてドローンが動く様子は、まるで魔法を使っているかのような感覚を味わえる。ただし実用性という点では、やや疑問も残る。
手の動きが大きかったり速かったりすると、機体も俊敏に反応してしまうため、慣れないうちは「ゆっくり動かす」ことを意識する必要がある。また、ジェスチャー操作中はスマートフォンを持てないため、DJI Flyの画面で映像を確認できない。ある程度感覚で飛行させ、撮影後に映像を確認する必要がある。
DJI Goggles N3対応でFPV飛行も体験可能
Neo 2は、FPV飛行用ゴーグル「DJI Goggles 3」「DJI Goggles N3」や、モーションコントローラー「DJI RC Motion 3」にも対応している。今回の取材では、Goggles N3とMotion 3を組み合わせてFPV飛行を行った。
機体とGoggles N3、Motion 3をリンクさせて電源を入れると、初回起動時にはチュートリアルモードが選択できる。筆者はFPV飛行が初体験だったため、チュートリアルに従って操作を学んだ。モーションコントローラーによる操縦方法は、通常のプロポ操作とは大きく異なるが、チュートリアルが丁寧に解説してくれるため、安心して飛行に臨めた。
Goggles N3を装着すると、機体のカメラが捉えた映像が視界いっぱいに広がる。Motion 3右上のオレンジ色のストップボタンを2回押すと、機体はアーミング状態になり、ジョイスティックを上に倒すと離陸する。アクセラレーターを倒せば前進し、手首を立てれば上昇、ひねった方向に旋回するなど、身体の動きと連動した操縦が特徴的だ。
今回は初心者モードでの飛行だったためスピードは控えめだったが、高度が上昇していく様子や、自分では到達できない高さを飛行する映像をゴーグル越しに体験するのは非常に爽快だった。安全な屋内での練習は必須だが、技術を身につけたうえで屋外飛行にも挑戦してみたいと感じた。
エントリーモデルとしての完成度と位置づけ
ひと通りNeo 2をチェックして得た感想は、「エントリーモデルの有力候補」というものだ。
Neo 2の機体重量は151~160gで、デジタルトランシーバーを搭載した分、Neoよりも重くなっている。諸外国では250g未満の機体がホビー機として扱われるケースが多いが、日本では100g以上の機体は航空法が適用される無人航空機となるため、屋外で飛行させる場合は機体登録や飛行許可・承認申請が必要だ。これはNeo(約135g)や、ZERO ZERO Roboticsの「HOVERAir X1 PROMAX」(192.5g)も同様である。
今回は屋内でのテストだったが、屋外で使用したユーザーからは、高度100m程度でも安定して飛行できたという声も上がっている。2軸ジンバルの搭載により映像の安定性も向上し、Neoより高品質な映像が撮影できるようになった。これらを踏まえると、Neo 2は単なる手軽なセルフィー撮影用ドローンというよりも、「初めて購入するドローン」として適したモデルだといえる。
Fly Moreコンボを選べば、撮影モードによるセルフィー撮影から、プロポ操作による自由な空撮まで幅広く楽しめる。また、Motion Fly Moreコンボを選択すれば、FPVドローンへの入門機としても活用できる。
2025年9月発売の「DJI Mini 5 Pro」もエントリーモデルの選択肢に入るが、予算やセルフィー撮影の比重を考慮しながら検討するとよいだろう。シーンに応じた使い分けができる柔軟性こそが、DJI Neo 2最大の強みである。
