長らくコンパクト空撮ドローンの代名詞となってきたDJI Mini 4 Proの後継機『DJI Mini 5 Pro』がデビューした。デビューしてから2年が経つMini 4 Proは、今年6月には国の第二種型式認証も得てさらに魅力が増している中、DJI Mini 5 Proの購入を躊躇している方もいるのではないだろうか。もしかしたら、Mini 4 Proから買い替えを検討している方もいるかもしれない。しかし、下記のDJI Mini 5 Proで撮影した映像を見てどうだろうか?
コンパクト空撮ドローンとは思えないハイダイナミックレンジの壮大な映像が撮れてしまうのだ。この“撮れてしまう”というのがポイントで、上記の映像はD-Log Mで撮影しDJIから提供されているLUTを当てただけで、特別な色調整をほとんどしていない。そこで今回は、DJI Mini 5 Proの撮影機能の魅力を紹介していきたい。
1インチセンサーの“Mini”が登場!なにがスゴいのか?
DJI Mini 5 Proの撮影機能の大きな変化は、コンパクト空撮機において1インチセンサーを搭載したことだろう(Mini 4 Proは1/1.3インチ)。空撮ドローンのスペック説明においてセンサーサイズというのはよく聞く単語かと思うが、センサー(イメージセンサー)はレンズを通して入った光をデジタル画像に変換する半導体部品のことで、大きければ大きいほどノイズが少なく、階調表現も豊かになる。
例えば、現在のDJIの空撮ドローンラインナップは1/2インチセンサーのNeo 2からフルサイズセンサーのInspire 3までさまざまなセンサーサイズのドローンが存在する。すべての機種で解像度4K以上の撮影ができるわけだが、簡単に言ってしまえば同じ4Kの映像でもセンサーサイズの大きい機種で撮影した映像のほうがより階調表現豊かなキレイな映像が撮れる…ということになる。
DJI Mini 5 Proの1インチセンサーは、上位機種DJI Air 3Sのセンサーサイズと同じなので、センサーサイズだけみれば上位機種のAir 3Sと同等の画質で撮影できるということだ。両機種ともに最大14ストップのダイナミックレンジ(表現できる「最も明るい部分」と「最も暗い部分」の幅のこと。14ストップは、2¹⁴ = 16,384階調の表現が可能)をうたっているのでメインカメラスペックは同等と言ってよいだろう(Air 3Sは70mmの中望遠レンズもある)。そして、その14ストップのダイナミックレンジは、ミラーレス一眼カメラで例えるとCanon EOS R5やNikon Z7 IIといったボディーのみ(レンズなし)で30〜40万円ほどするカメラと同レベルだ。
ゆえに、DJI Mini 5 Proはサイズからは想像ができない高画質で撮影ができるのである。
さまざまな映像サンプル
それでは、DJI Mini 5 Proの映像サンプルをいろいろと見てみよう。撮影は「D-Log M」で行い、色調整データが入ったDJI公式の「LUT」を編集ソフトで当てたものを使用した。
DJI Mini 5 Proは撮影モードが「ノーマル」「D-Log M」「HLG」の3つが用意されており、目的に応じて選択することができる。「ノーマル」は一般的な撮影方法だが色や明るさの階調が8bit(=256階調)、「D-Log M」と「HLG」は10bit(=1,024階調)で記録できる。「D-Log M」は撮影したままではグレー寄りのフラットな色調となってしまうが、色調整をすることでより深みのある色調にできるため、編集を前提として撮影する場合は「D-Log M」を選択する。一方、10bitで高画質な状態で色が乗っている「HLG」は、色調整をせずにそのまま配信などを高画質で行う場合などに選択されることが多い。
今回は、色調整が必要であるがその機体が持つ高画質撮影機能を試す意味で「D-Log M」での撮影比較としている。また、初心者でもその高画質を再現できるよう、基本的にDJIが提供している色調整情報「LUT」を適用したままの色調整としているので、誰にでも撮れる映像として見てほしい。
昼間の映像
DJI Mini 5 Proの映像はとても立体感があり、富士山への奥行き感はもちろんのこと、画面手前の森林もモコモコと木が立ち並んでいる感じがよく出ている。サンプルとして動画の最後にほぼ同時間・同画角で撮影したMini 4 Proの映像も入れてあるが、Mini 4 Proも昼間の映像においてはとてもキレイに撮影ができている。ただ、DJI Mini 5 Proの映像と比較してしまうと、樹木のモコモコとした立体感が少し足りないように見えてしまう。
朝方・夕方の映像
センサーサイズが大きなカメラの特長のひとつに、薄暗いところでもノイズの少ない映像を撮影できることがある。そこで、あえて朝方や夕方の映像を撮影したので見てほしい。暗いところが黒く潰れすぎずに色が残るとともにハイライトもギリギリ白飛びしないとてもダイナミックレンジが広い映像がノイズ少なく撮れている。
また、入門系の空撮ドローンではカメラ設定をオート撮影で行う方も多いと思うので1カット目の朝方の港のシーンはあえてシャッタースピードをオートで撮影したのだが、以前の空撮ドローンではオート撮影すると露光があからさまに変わって映像として使いにくかったのだが、DJI Mini 5 Proではとても自然に画面の明るさを微調整しているのでオート撮影と言われなければ気づかない方もいるのではないだろうか。
DJI Mini 5 ProとMini 4 Proの夕景・夜景映像の比較
1インチセンサーの新型カメラになって特に差が出そうな薄暗い環境で映像にどれくらいの差がでるのか、DJI Mini 5 ProとMini 4 Proで同じ景色を同時間に撮影して比較してみた。こちらの撮影はカメラ設定を「ISO:オート、シャッタースピード:1/60秒」で揃えている。
映像を見ると一目瞭然なのだが、夕景はDJI Mini 5 Proは暗いながらもコントラストが高い映像が撮れているが、Mini 4 Proはコントラストの低い少しのっぺりとした映像になってしまっている。DJI Mini 5 Proは暗い中にも色調が豊かに表現されているのに対し、Mini 4 Proは全体的になんとなく暗い…という印象だ。
夜景の比較については特に差がわかりやすい。DJI Mini 5 Proは暗い空の中の明暗や、街の明かりがとても豊かに表現されている。これはMini 4 Proの最大ISO値が1600(D-Log M撮影時)なのに対し、DJI Mini 5 Proの最大ISO値が3200(D-Log M撮影時)まで進化しているのも大きな差になっている。夜景や薄暗い環境で撮影をするならば間違いなくDJI Mini 5 Proを選択するのがベターな答えだ。
その他、いろいろな撮影方法が楽しめる
DJI Mini 5 Proは、これまでもあった縦構図撮影に加え、画質劣化の少ない新たな中望遠モードやジンバルの225°ロール軸回転にも対応した。シングルレンズ機ではあるものの、上位機種Air 3Sのような中望遠やMavic 4 Proのようなダッチアングル(意図的に水平を傾ける撮影)ができる。
また、もちろん50MPの1インチセンサーを最大限活用した写真もとても高画質に撮影できるため、写真派のユーザーにもおすすめできる。
Mini 5 ProをMiniと見ないほうがいい
いろいろと空撮をしてわかったのは、今回デビューしたDJI Mini 5 Proは、Miniシリーズではあるものの、上位機種同等の性能や機能を持った高画質ドローンであるということだ。Mini 4 Proも完成度が高かったため型式認証を得た同機も魅力的に見えてしまうが、画質にこだわるなら間違いなくDJI Mini 5 Proを選択するのがベストだろう。ぜひ今回のサンプル映像をみなさんの機種選びの参考にしてほしい。
