2026年9月24日、センシンロボティクスは、ドローンを活用した架空送電設備点検アプリケーション「POWER GRID Check」(以下、PGC)に、3次元点群データを活用した「安全航路設計機能」および「測距座標取得機能」を実装したと発表した。

 中部電力パワーグリッドとの共同研究で確立した技術により、これまで現地で目視確認や手動飛行により実施していた飛行ルートの安全確認および支持物座標の取得が事務所内のPC上で可能となり、現地作業の大幅な削減を実現する。

 架空送電設備の点検業務では、ドローンの自動航行による点検が普及する一方、飛行ルートの設計には現地の樹木や地形の目視確認、支持物の座標取得のため現地作業や手動飛行が必要とされてきた。

架渉線点検ルート作成
3次元点群データを活用した安全航路設計イメージ
3次元点群データ活用による業務フローの変化
従来の業務フローと、3次元点群データ活用後の業務フローの比較

 両社は2021年よりPGCの運用と共同研究を継続し、2023年には3次元点群データを活用した自動点検飛行ルートの補正技術について、業務実装に向けた技術的な実現性の調査を完了している。

 研究では、飛行ルートの高度と点群データの高度の双方をGNSS測位に基づく楕円体高度(※1)に統一することで、実機による測距結果との誤差を数cm~数十cm程度まで抑えることを確認。さらに、点群データとの衝突判定にもとづき自動補正した飛行ルートでドローンの自動航行を実施し、仮想空間上で設計した離隔距離と実機による測距結果が高い精度で一致することを確認した。今回のリリースは、この成果を業務実装したものである。

※1 楕円体高度:地球をモデル化した楕円体面を基準とする高度。GNSS測位により直接得られる高さ情報であり、データの高度統一や高精度な位置合わせに適している。

3次元点群を活用した安全航路設計の考え方

実装した機能

3次元点群データのインポート・管理

 支持物ごとの3次元点群データの登録・管理に対応。LiDAR搭載ドローンや航空測量によって取得した点群データを、支持物マスター情報とひもづけて保持する。登録された点群データは「測距座標取得機能」「安全航路設計機能」から参照され、登録状況や計測日を確認できる。樹木の成長や地形の変化に応じてデータを更新することで、現地状況にもとづいた運用が可能。

支持物マスター情報
支持物ごとに3次元点群データの登録状況と計測日を一元管理

3測距座標取得機能

 3Dビューア上で座標を取得したい地点をクリックするだけで、その地点の3次元座標をPGCの支持物マスター情報へ反映。視点の回転・拡大縮小、高度に応じて点群を色分けする高さ強調表示を備えており、対象箇所を正確に指定できる。これにより現地出向および手動飛行を不要とする。

支持物マスター情報

安全航路設計機能

 生成した飛行ルートと3次元点群データを照合し、障害物との衝突リスクを自動判定。任意に設定した離隔距離を基準にルート上の各地点の周辺を解析し、衝突リスクがある場合は警告を表示したうえで安全な高度へルート全体を自動補正する。支持物点検ルート、架渉線点検ルートの作成に対応しており、点群データが登録されている支持物では標準で安全確認を実行。点検品質の均一化と安全性の向上に寄与する。

支持物点検ルート作成

 センシンロボティクスは、ドローンの目視外飛行への適用も見据え、飛行ルート設計の自動化・高度化に継続して取り組むとともに、点群データを活用した測量業務の代替など適用範囲の拡大を目指す方針だ。

「POWER GRID Check」について

 架空送電設備の保守業務に特化した業務アプリケーション。自動航行するドローンにより鉄塔(支持物・がいし)と送電線(架空地線・電力線)を一括で自動点検し、ドローンと設備の離隔距離を確保したうえで均一なデータを取得する。ドローンに関する知識を持たない作業員でも送電設備の点検業務を実施することが可能。

POWER GRID Checkによる送電設備自動点検の流れ
「POWER GRID Check」による送電設備自動点検の流れ
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