2026年3月27日、JISDA(日本技術安全保障戦略機構)は、安全保障・危機管理分野における無人機運用能力の構築を支援するドローンのリース・訓練パッケージ「Skill House」の提供開始を発表した。防災、警備、防衛、その他の危機管理分野で求められる実践的かつ高度な無人機運用に対応する。機体のストック管理に加え、損耗を前提とした訓練環境、経験豊富な操縦者・教官による訓練、必要に応じた人材のマッチングまでを一体的に提供する。JISDAはこの取り組みを、同社が推進する無人アセットコンソーシアム「RISE」の一環として位置づけている。

広い屋内でドローンを操縦するイメージ

 訓練の現場では、機体の損耗を避けることが困難である一方、予算の制約から機体を壊したくないという意識が働く。その結果、訓練が不十分になり、能力構築が進みにくくなる状況がある。特に安全保障や危機管理分野では、平時から能力を積み上げ、必要な時に確実に運用できる体制が求められる。

 そのためには、機体を購入するだけでなく、損耗を前提とした補充、修繕、保管、再配置までを含めた運用基盤が必要になる。こうした継続的に運用可能な環境を整備するため、JISDAは訓練用機体の包括利用や運用負荷の軽減を支援するサービスの提供を開始する。

 また、日本の無人航空機操縦士技能証明などの国家資格制度は、安全確保を最優先とする利用を前提に整備されているが、防災や警備、防衛といった安全保障・危機管理分野における現場ニーズを完全に満たすものではない。

 危機管理の現場では、手動で姿勢を制御する操縦や高度な出力調整、通信環境が不安定な場所での運用、複数機の同時運用、大型機との併用など、より複雑で厳しい条件に対応する能力が求められる。また、目視で状況確認や対象確認を行う担当者、整備や通信・センサー調整を担う技術者など、複数の役割を持つ人材の連携も欠かせない。

 JISDAは、技術の自動化が進んだとしても人間の判断と技能は重要であり、現場要請に即した独自の訓練体系と能力構築の仕組みを社会実装可能な形で整備する必要があるとしている。

「Skill House」の特長

  • 「壊し放題」なパッケージ
     訓練用機体を一定条件のもとで包括的に利用できる(壊し放題)。JISDAが自社製品・他社製品を含む機体ストックを管理し、訓練の現場が継続的に機体を使える環境を整える。機体の破損を恐れて訓練強度を下げるのではなく、必要な回数を、必要な負荷をかけながら訓練できる。破損した機体は修理できるものは修理し、必要に応じてストックから補充することで訓練の中断をできるだけ防ぐ。
    従来の方式とSkill Houseの仕組み
  • 保管・管理・補充までまとめて支援
     無人機の能力構築には、機体だけでなく保管や在庫管理、整備、補充発注などの継続運用が伴う。こうした業務は見えにくい負担となり、訓練や運用設計に使うべき時間や手間を圧迫する。こうしたバックヤード業務をJISDAが担うことで、利用者が訓練そのものに集中しやすい体制を整える。
  • 高度な運用に向けた実践的な訓練
     一般的な民生訓練の枠にとどまらず、安全保障・危機管理分野で求められる現場対応力を意識した訓練を提供する。操縦技能だけでなく、通信環境の制約、複数機の運用、チームでの連携など、より実際の現場に近い条件で能力づくりを支援する。これにより、国家資格取得のための訓練だけでは身につけにくい、実運用を見据えた判断力や対応力の向上を目指す。
    訓練体系の違い
  • 教官・操縦人材の派遣
     高度な無人機運用の経験を持つ国内外の操縦者や教官とのネットワークを活用し、必要に応じた人材支援にも対応する。経験豊富な操縦者の紹介や教官派遣まで支援することで、現場の立ち上がりを後押しする。組織の中で必要な運用体制を早期に整えたい場合にも、実務に近い形で支援する。