国土技術政策総合研究所(以下、国総研)は、実際の道路管理現場での被災を想定し、無人航空機(以下、UAV)の自動飛行、リアルタイム映像配信、AI画像解析による被災箇所の自動抽出機能の検証実験を実施する。

 同研究所は、災害時に道路被災状況を速やかに把握できるよう、無人航空機に搭載可能な被災箇所のAI自動抽出システムの開発に取り組んでいる。

【実施概要】

 災害時の道路管理におけるUAVの活用に向け、以下の事項を検証する。

  • UAVの自動飛行
  • LTE通信を用いたリアルタイム映像配信
  • AI画像解析による被災箇所の自動抽出

 災害時の道路管理にUAVを活用することで、状況把握の迅速・省力化が期待され、職員参集前の情報収集や、参集後、被災箇所の優先調査が行える。また、事前通行規制区間の規制解除前の安全確認を迅速・省力化し、被災箇所の画像から専門家に助言等を得ることで安全性を速やかに判断できる。

実施日2025年12月16日(火)※雨天順延:2025年12月17日(水)
場所国道52号の一部区間 身延町役場~中富浄化センター
地図に示された飛行経路
写真:道路上にアイコンで表示された車両位置
リアルタイムAI⾃動検出結果イメージ(⾞両を対象とした抽出例)

 災害発生時は、道路施設の被災状況や通行の可否等を把握して適切な措置を講じるため、道路巡回を適宜実施する。土砂崩れや落石等のおそれがある箇所は、過去の記録などをもとに規制基準等を定め、災害が発生する前に「通行止」などの規制を実施する。この事前通行規制は、雨量や気象予測に基づき道路管理者が今後の降雨を予測し、雨量が基準値に達すると判断された場合に職員が現地で準備を行う。雨量が基準値に達すると現地職員が通行規制を開始し、天候や気象予測を踏まえパトロールカーで規制区間内を巡回し、安全を確認した後に通行規制を解除する。関東地方整備局管内では、20区間、総延長106.8kmが事前通行規制区間に設定されている。

 UAVを活用することで、規制解除時の安全確認の迅速・省力化が期待される。

写真:道路を巡回するパトロールカー
写真:事前通行規制区間で通行規制を行う様子
左:道路巡回状況、右:事前通⾏規制区間の規制時の状況