ソフトバンクは、国土交通省と日本工営が主催する「河道閉塞(天然ダム)湛水部の湛水位監視の高度化に向けた現地実証実験」に参加し、高精度測位サービス「ichimill(イチミル)」とドローンを活用した水位計測を、2025年10月22日に佐賀県佐賀市の喜瀬川ダムで実施した。
河道閉塞とは、地すべりや斜面崩壊によって河川が土砂で塞がれる現象のことで、周辺の家屋や道路に浸水被害が生じたり、決壊することで土石流が発生し、下流に甚大な被害を及ぼしたりする可能性がある。
今回は、火山噴火等で河道閉塞湛水部が発生した際に、迅速性・安全性を担保した上で監視ができるよう、ドローンによる運搬・投下が可能かつGNSS等が導入されている水位計測機器の現地実験を行った。
河道閉塞湛水部でのブイを用いた湛水位監視の有効性を確認し、遠隔・迅速・安全な観測体制の確立を目指す。
検証内容・結果
- 測位精度の検証
ichimillを活用した水位計ブイによる、ネットワークRTK測位方式での計測精度を検証。その結果、水位計での測定結果と陸地からの測量結果を比較して遜色ない測定精度を確認した。 - 漂流状況の確認
アンカー無しを条件に、ダム貯水池設置時のichimillを活用した水位計ブイの漂流挙動を確認した。その結果、高精度位置測位により試験時の移動軌跡を正確に測定し、漂流時の挙動を正確に把握、再現することに成功した。 - UAV(無人航空機)による運搬・設置
地上からの搬入が困難な状況を想定し、UAVでブイの運搬・設置の実運用性を検証した(想定運搬距離:約200m)。その結果、UAVによる吊り上げ、リモートでの切り離しを予定通り完了。実際の現場を想定し、吊り上げ状態での連続飛行試験・運搬を完遂した。
今回の検証では全検証項目をクリアし、ichimillとドローンを活用した湛水位監視の有効性を確認した。
日本国内では、豪雨時の急激な水位上昇への備えや、管理人手不足・高齢化への対応など、水辺の安全管理に関する課題が顕在化している。ソフトバンクは、災害対策分野における計測・監視の高度化に向け、ichimillと各種ドローンソリューションの連携を強化し、より安全で効率的な現場運用の社会実装を目指すとしている。
