2026年10月8日、センシンロボティクスは、中部電力パワーグリッドとの共同研究をもとに開発した変電所向け遠隔巡視アプリケーション「POWER GRID Check for Substation」(以下、PGC-S)のベータ版をリリースしたと発表した。
変電所の巡視業務では、目視による定期点検や障害発生時の緊急出向が行われてきたが、大規模災害時の道路寸断などによるアクセス困難や広大な敷地の監視コスト、目視が難しい高所などの確認が課題となっていた。この課題に対し、両社はロボティクスとAIを活用した変電所スマート保全の実現を目指し、2023年より共同研究に取り組んできた。
今回リリースしたPGC-Sは、2021年から送電設備の保守業務で現場運用されているドローンを活用した送電設備点検アプリケーション「POWER GRID Check」シリーズの第2弾であり、その技術基盤と設計思想を継承し、変電設備の巡視業務に特化して開発したもの。ドローンによる巡視ルートの作成から、機体への飛行ルート転送、取得データの設備単位での管理、写真上での異常箇所の登録・ステータス管理までを、ひとつのアプリケーション上で完結する。
従来の課題であったメーカー純正アプリによる運用やデータの分断を解消し、特定のドローンメーカーに依存しない設計を採用。複数メーカーの機体を運用する場合でも、単一のアプリケーション上で一元的に管理できる。
主な機能
- 巡視ルートの作成
地図上でウェイポイントを指定し、巡視ルートを作成。撮影対象の設備を選択すると、位置情報からドローンの機首方向とカメラ角度を自動で算出し、均一な画角でデータを取得する。 - 機体へのルート転送と飛行モニタリング
作成したルートは、センシンロボティクスのソリューション開発プラットフォーム「SENSYN CORE」を経由して、変電所構内のドックおよび機体へ転送する。飛行中はテレメトリー情報をリアルタイムで確認できる。 - 設備単位での点検データ管理
取得した写真は、エリアや保守箇所、変電所、設備単位の階層構造で管理され、絞り込み検索が可能。写真上で異常箇所を矩形で囲み、異常種別・コメントを登録したうえでステータス(「継続監視中」「対応完了」など)により対応状況を追跡できる。
PGC-Sは、主回路機器の外観点検(さび、破損、変形、変色)や漏油・メーター確認、屋外鉄構や周囲柵の外観点検、変電所周辺の状況確認といった巡視項目を、ドローンによる遠隔実施へ移行していくことを想定している。
同社はベータ版の運用を通じて機能の磨き込みを行い、2027年春頃の商用版提供を目指す。あわせて、蓄積した点検データを活用したAIによる異常自動検出機能の実装、対応機体・対応ドックの拡充、巡視対象設備の拡大に向けた開発を進めていく方針だ。
