2026年6月5日、Antigravityは、インドネシアのユネスコ世界文化遺産「ボロブドゥール寺院遺跡群」において、360度ドローン「Antigravity A1」による3Dデジタル化プロジェクトを実施したと発表した。

 360°空間キャプチャーと3D Gaussian Splatting(以下、3DGS)技術を組み合わせることで、ボロブドゥール寺院と周辺環境を記録し、継続的な活用が可能な3D空間データを構築。現地への物理的な干渉を抑えながら、遺跡をより自由なかたちで体験できる新たな可能性を提示している。

ボロブドゥール寺院の3D空間データ
ボロブドゥール寺院のデジタルアーカイブ

 この取り組みは、AntigravityとInsta360が共同で進めるグローバルな文化・空間デジタル化プロジェクト「Project ETERNAL」の一環であり、文化遺産のデジタル保護およびデジタルアーカイブにおける新たな活用可能性を検証するものとなる。

【プロジェクトのミッション】

  • 自然環境や遺跡への干渉を最小限に抑えた空間の記録
  • 空間キャプチャ技術の普及により、個人・機関を問わずより多くの人の重要な建築物デジタル化への参加機会を拡大

 ボロブドゥール寺院はユネスコ世界文化遺産に登録されているが、長年の自然風化などの影響から、継続的な保護・記録に課題を抱えている。このプロジェクトでは、Antigravity A1により遺跡とその周辺環境を対象に空間記録・3D再構築を行い、研究やデジタル展示、教育活動など幅広い用途への活用が期待されるデジタルアーカイブとして整備した。

ボロブドゥール寺院のレリーフ
ボロブドゥール寺院

技術的成果:1回のフライトでデータ収集効率を3〜5倍に向上

 高品質な3DGSには、多視点かつ大規模な画像データが不可欠であり、従来の方式では数百〜数千枚の画像撮影や綿密な飛行経路の事前設計、補足撮影が必要であった。そのためデータ収集の効率と現場作業コストの両面で大きな負担になっていた。

 360°全景ドローンのAntigravity A1は、全天球イメージング技術に加え、「FreeMotionモード」「Sky Genie」「Sky Path」といった自動飛行機能を搭載している。今回のプロジェクトでは、空中と地上を統合したデータ取得ワークフローを構築し、1回のフライトで全方位の空間情報を効率的に取得することを可能にした。

 これにより、保存状態が脆弱な遺跡環境においても、高いカバレッジでのデータ取得を実現。空間データ収集の効率は従来の多視点撮影方式と比べて約3〜5倍向上し、現場作業の頻度削減により遺跡環境への物理的干渉も低減した。

写真:上空から撮影したボロブドゥール寺院の全景
Antigravity A1で撮影したボロブドゥール寺院
写真:飛行するAntigravity A1ドローンとボロブドゥール寺院
Antigravity A1とボロブドゥール寺院

 Project ETERNALでは現在、世界中のクリエイター・機関・技術者を対象に、360度空間記録への参加を呼びかけ、没入型3Dコンテンツの活用可能性を広く探求する「ETERNAL Challenge」を開催している。応募期間は2026年6月24日まで。

 Antigravityはこの技術の日本国内における社会実装にも取り組んでおり、日本低空経済振興会(LEAD-J)と連携し、現地調査やデジタルツイン構築、観光活用、鳥獣被害対策などの分野で活用を進めている。特に防災分野では、「一度の飛行で全方位の空間情報を取得できる点が、迅速な意思決定に有効」として評価を得ている。