2025年11月26日、Fujitakaは、クマ被害への対策として、DJIのドックステーション「DJI Dock 3」を活用した設置型遠隔操作ドローンシステムの運用を同月開始したことを発表した。
このシステムはAIを活用してクマを自動検知し、スピーカーやライトによる威嚇・追い払い、上空からの定期巡回調査による頻発出没箇所の特定、リアルタイムで警告を通知する機能を搭載している。作業の自動化・遠隔化により、人手不足の解消や人的被害の抑制が期待される。
クマの出没件数が急増する背景には、生息域の変化や人里への接近が挙げられる。従来のクマ対策は見回りや檻の設置が中心だったが、人員不足や広大な監視エリアへの対応が課題となっていた。また、目視による監視は人的リスクを伴い、夜間や悪天候時には十分な対応が困難であった。こうした状況から、より安全で効率的なクマの監視・検知システムが求められていた。
クマ検知システムの特徴
- 自動運用可能な設置型ドックステーション
ドローンを格納・充電する設置型ポートDJI Dock 3を活用し、ドローンの離着陸、充電を完全自動化。人手を介さず定期的な巡回監視を実現する。山間部や人が立ち入りにくい地域にも設置でき、100V電源と通信機器があれば運用が可能。 - AIによるクマの自動検知技術
マルチモーダル機能とAI検知システムにより、クマの姿を高精度で自動認識する。セキド、くまくま園との共同実証実験により、検知精度は実用レベルに達していることを確認している。夜間でも赤外線カメラでクマを検知し、24時間体制での監視が可能。 - クラウド連携による遠隔操作と情報共有
運航管理クラウドと連携し、PCからの遠隔操作が可能。検知したクマの情報をリアルタイムで関係者に通知し、映像データを即時共有する。取得したデータを自治体や警察、地域住民へ迅速に提供することで、効果的な避難指示や注意喚起ができる。 - カスタマイズ可能な警告機能
クマを検知した際には、ドローンから警告音や光を発して威嚇することでクマを安全に遠ざける。警告パターンは地域の特性やクマの行動特性に合わせてカスタマイズが可能。
設置型遠隔操作ドローンシステムは、太陽光発電施設での盗難監視やパネル点検、建設現場の状況確認などに導入されてきた。今後、クマ対策・調査ソリューションに展開し、作業の自動化・遠隔化により人手不足の解消や人的被害の抑制を目指す方針だ。
