そらいいな社は、2025年11月20日、長崎県・新上五島町において、エリア単位での許可・承認を受けたドローンのレベル4飛行(有人地帯での目視外飛行)による医療用医薬品、日用品・食品配送の実証実験を実施した。

写真:大勢の関係者が見守る中飛行するドローン
青方郷の中継地点から離陸するドローン

 同社は、2022年4月から⾧崎県五島市に事業拠点を設け、固定翼型ドローンを用いたレベル3飛行(無人地帯での目視外飛行)による医療用医薬品などの配送を行っている。事前に設定した無人地帯にパラシュートで荷物を投下するため、顧客が指定場所まで荷物を取りに行く必要がある。

 家庭や医療機関の軒先といった有人地帯へ直接配送するには、レベル4飛行が不可欠だが、これまでは線形経路での飛行許可・承認に留まっていた。2024年度に五島市玉之浦地区で行った実証では、レベル4飛行の許可・承認申請に際し、従来の線形経路での許可・承認をエリア単位で行うにあたっての留意事項等の整理を実施。これにより、同一エリア内で配送先が増加する場合でも、都度、追加の経路申請を行わずにレベル4飛行での軒先配送が可能となる枠組みを整理した。

ドローン配送の現状(経路ごとに許可・承認発出)、今後の方向性(エリア単位での許可・承認発出可)の概要図

 今回の実証では、新上五島町青方郷地区において、エリア単位での飛行許可・承認申請を行い、国土交通省航空局とエリア単位での申請における地上リスクや空中リスクの評価方法等について協議し、エリア包括でのレベル4飛行の許可・承認を取得した。

 今後、レベル4飛行による軒先配送により、サービス利用者の手間や時間の削減を図る。

写真:屋上に着陸するドローン
上五島病院の屋上に着陸するドローン

実証概要

 今回の実証では、将来的な固定翼型ドローンでの軒先配送を見据え、従来の固定翼型ドローンとレベル4飛行が可能なマルチコプター型ドローンを組み合わせた配送を実施した。

地図に示されたドローン配送の飛行ルート、配送の具体的な流れ

 今後、そらいいな社の配送拠点から載せ替え無しで軒先配送を実施するため、固定翼型ドローンのレベル4飛行に向けた対応を進めるとしている。また、エリア単位での飛行許可・承認申請過程の合理化に向けて、国土交通省航空局と協議していく方針だ。

各社役割

 この実証は、内閣府が新技術実装連携“絆”特区として定める⾧崎県・福島県および、その他特区を対象とした「令和7(2025)年度 先端的サービスの開発・構築及び規制・制度改革に関する調査事業」の一環として、⾧崎県、新上五島町、⾧崎県上五島病院の協力のもと、ACSL、医薬品卸4社と共同で実施した。

そらいいな全体のとりまとめ、規制・制度改革案協議、現場整備、配送オペレーション
ACSLレベル4飛行対応機体の提供、レベル4飛行オペレーション
⾧崎県規制・制度改革案協議
新上五島町配送実証連携・協力、レベル4配送場所提供
⾧崎県上五島病院
翔薬医療用医薬品配送協力
東七
藤村薬品
宮崎温仙堂商店

使用機体

マルチコプター型ドローン(第一種型式認証取得機体)
ACSL「PF2-CAT3」

写真:ACSL「PF2-CAT3」
外寸1.174mm×1,068mm×601mm(プロペラ含む)
機体重量8.8kg
最大飛行時間17.5分(最大離陸重量時)
最大離陸重量9.8kg
積載量最大1.0kg
最大飛行速度水平10m/s(36km/h)、上昇3m/s、下降2m/s


固定翼型ドローン
Zipline「Sparrow」

写真:Zipline社製「Sparrow」が飛行する様子
外寸翼⾧3,300mm、機体⾧1,900mm
最大飛行距離往復160km(拠点を中心に半径80km)
最大離陸重量21.0kg
積載量最大1.75kg
最大飛行速度100km/h