2025年11月19日、アイ・ロボティクスと光洋機械産業傘下でシンガポールに拠点を置くKYC Asiaは、Heron AirBridge(以下、Heron社)とドローン技術の共同開発・統合・実証および市場展開に関する戦略的業務提携覚書(MoU)を締結したと発表した。

 今後、日本とシンガポールを中心とする国内外市場において、ドローン運用ソリューションの研究開発および商業化を推進する。

 シンガポールを拠点とするHeron社は、ドローンポート、ドローン、リモートIDハードウェアと連携し、広域の空域管理と運航管理を一元化するシステムおよびUTMプラットフォームを開発している。アジア各国における空域運用・法制度をまたいだ自動運航と遠隔管理の標準化を推進している。一方、日本国内では、物流、インフラ点検、災害対応など多分野でドローン活用が拡大しており、運航管理システムの高度化が求められている。こうした背景のもと3社は、ドローンの運用に係る技術の開発から市場展開までを包括的に推進する覚書を締結した。

 この提携により、各社の先端技術と国際ネットワークを合わせ、統合型の運航ソリューションを創出するとともに、日本およびアジア地域における次世代ドローン産業の高度化と社会実装の加速を目指す。

Heron Airbridgeの空域設定画面

提携内容

  • プロダクトの共同研究
     Heron社が提供するドローン運航管理・UTMプラットフォームと、アイ・ロボティクスが提供しているドローンソリューションや自動化サービスを統合し、共同で開発・テストを実施する。各社の技術を組み合わせることで、複数ドローンの同時遠隔運航や自律飛行を安全かつ管理可能にするシステムを構築する。
  • 市場展開可能性検証の取り組み
     開発したプロダクトをもとに、日本、シンガポールおよびアジア太平洋地域において、ドローンソリューションの共同事業展開の可能性を検討する。各国の規制動向や市場ニーズを踏まえ、ビジネスモデルの策定やターゲット分野の選定を行う。
  • 実証実験の取り組み
     この提携の技術検証として、開発したプロダクトを用いて、複数ドローンのミッション管理、戦略的デコンフリクション(飛行経路調整による衝突回避)、コンフォーマンスモニタリング(飛行規則順守監視)などのシナリオ実証を、ドローンフィールドKAWACHI(茨城県河内町)を中心に各地で行う。また、国内顧客・関係機関の参加により、現場ニーズの把握とフィードバック収集を行い、開発の精度と実装性を高めていく。
写真:運用システムを操作する様子
Heron社の運用システムを操作している模様。Heron社は、UTMおよびリモートID技術を提供し、複数ドローンのリアルタイム運航管理、飛行経路調整、自動監視などの中核機能を担う。
飛行中のドローンの空域管理画面

 今回の提携を通じて、3社は2026年以降、日本とシンガポールで統合ドローンソリューションの商用展開を本格化させる計画だ。インフラ点検、物流、スマートシティ監視など多様な領域のニーズに対応するとともに、グローバルサウスを中心とした市場への展開も視野に、無人航空サービス基盤の構築を進める。