インプレスは、新産業調査レポート『ドローンビジネス調査報告書2026【インフラ・設備点検編】』を2025年11月18日に発売した。

 日本国内ではインフラ・設備の老朽化が進み、これを維持するための点検の重要性が増している。一方、点検作業者の高齢化が進み、人員確保や新技術の導入などによる効率化が急務となっている。この課題に対し、ドローンを用いたインフラ・設備点検が期待されており、特に橋梁や送電網、基地局鉄塔、一般住宅、ソーラーパネル等の分野で商用化・実用化が進んでいる。そのほか、大規模建造物や建築物設備などでも導入が広がっている。

 この報告書では、ドローンを活用したインフラ・設備の点検について、その現状と課題を分野ごとに明らかにしている。インフラを保有し自社の点検業務にドローン活用を進めたい企業や、それらの企業向けにドローンを活用した点検ビジネスを行いたい企業の参考となる具体的な情報を網羅している。

直近1年間の状況(トピックス)

 2025年1月、埼玉県八潮市で大規模な道路陥没事故が発生した際、屋内狭所点検用ドローンが下水道管内を飛行し、行方不明者の捜索や現場状況の把握に貢献した。これにより、人が立ち入れない狭所空間でのドローンの有用性が高く評価された。また、この事故により老朽化した下水道管に対する点検の必要性が浮き彫りとなった。国は100億円規模の予算を計上し、1年以内に5,000kmの下水道管の緊急点検を行うよう指示している。これを受け、下水道管の点検でドローンの活用が広がりを見せている。

 送電網に沿ってドローンがレベル3飛行(無人地帯での目視外飛行)できるよう整備されたドローン航路の運用が一部地域で始まるなど、ドローン航路の取り組みは、今後拡大される見込みだ。これに合わせ、送電網・鉄塔分野では、ドローン航路を活用する各電力会社でのドローン点検の実用化も進んでいくとみられる。また、ドローンの飛行や画像撮影を自動化する点検用ソフトウェア、AIで異常を検知する技術の開発なども引き続き進展している。

 橋梁分野では、ドローンを使った点検手法がいち早くガイドラインへ位置づけられており、すでに実用化が進んでいる。高画質化の進む撮影画像をAIで解析し、コンクリートに対する損傷検出や、鋼材の腐食やさびを検出する技術開発も進んでいる。

 そのほか、低価格化が進みつつあるドローンポートも普及の兆しを見せている。設置したポートから自動で離着陸し、設定された航路を飛行して巡回や点検などを行うソリューションの開発が進み、遠隔から制御する実証も行われている。日次や週次で巡回点検を行うプラントなどでの導入が期待される。

 ドローンを活用した点検市場は今後も広がることが予想される。インプレス総合研究所では、インフラ・設備点検がドローンを活用したビジネスにおいて最も市場規模が大きい分野とみており、2025年度に1003億円の同市場規模が、2028年度には1500億円に達すると推測している。

各点検分野の活用フェーズ(研究、開発、事業化)
点検分野ごとのドローン活用フェーズ(2025年10月時点)※斜線部分は2024年度発表時のもの(出所:インプレス総合研究所)

構成・各章の概要

第1章「インフラ・設備点検におけるドローンの役割とビジネスモデル」
 インフラ・設備点検分野におけるドローンの役割や効果、ビジネスモデルなどをまとめている。

第2章「インフラ・設備点検分野における最新動向」
 埼玉県八潮市での道路陥没事故を受けた下水道管点検での狭所点検向けドローンの活用、ドローンポートの拡大など、注目すべき市場全体のトピックスをまとめている。

第3章「産業分野別のドローンビジネスの現状と課題」
「橋梁」「トンネル・洞道」「ダム」「送電網」「基地局鉄塔・通信鉄塔」「ソーラーパネル」「一般住宅」「大規模建造物(マンション・オフィスビルなど)」「プラント」「風力発電」「建築物設備」「船舶」「鉄道施設」「水中構造物」「下水道」など16分野について、ドローンを活用したビジネスの現状と課題、ドローン活用のメリット、今後の展望などを分析。「その他」では実用化を模索する動きが見られる分野を紹介している。

第4章「各省庁の動向」
 ドローンを点検で用いる上で関わってくる法整備をはじめ、インフラ設備点検に関係する省庁の動向を解説する。

第5章「企業動向」
 ドローン点検に関連するメーカーとサービス事業者の動向を紹介。今年度からは各企業のドローン点検で実績のある業界や用途、注力している業界や用途についてもヒアリングし、その内容をまとめている。

ドローンビジネス調査報告書2026【インフラ・設備点検編】

ドローンビジネス調査報告書2026【インフラ・設備点検編】書影
書名ドローンビジネス調査報告書2026【インフラ・設備点検編】
青山 祐介、インプレス総合研究所
監修ドローンジャーナル編集部
発行所インプレス
発売日2025年11月18日(火)
価格CD(PDF)版・電子版 12万1,000円(本体11万円+税10%)
CD(PDF)+冊子版 13万2,000円(本体12万円+税10%)
判型A4判
ページ数390ページ
ISBN9784295022930
URLhttps://research.impress.co.jp/infra2026