三井住友海上火災保険とMS&ADインターリスク総研は、FullDepthと共同で水中ドローンを活用した洋上風力発電事業者向けの海中設備点検サービスを開発し、2025年10月29日に提供を開始した。

 海底ケーブル等の設備故障や異常を検知することで、洋上風力発電設備の損傷による事故防止や被害軽減を支援する。

 なお、FullDepthは内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)実証事業で自律型無人探査機(AUV)の開発に取り組んでおり、将来的に同サービスに適用することを目指している。

 政府は、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、洋上風力発電を主要電源の一つと位置付け、その普及に向けた取り組みを進めている。欧州では送電に使用する海底ケーブルの損傷事故が多数発生しており、損害を未然に防ぐための海中設備点検が重要視されている。一方、従来の点検には特殊な船舶やダイバーが必要であり、安全性や効率性、コスト削減が課題となっている。日本では欧州よりも沿岸から離れた海域での開発が想定されるため、より効率的な点検が求められる。

 両社は、産業用水中ドローンを活用した水中調査のデジタル化を手掛けるFullDepthと2022年から共同研究を進めており、今回のサービス開発に至った。

サービス概要

 FullDepthの水中ドローンを活用し、「映像データによる海中設備の状態確認」「イメージングソナー(※1)による海底マッピング」を実施する。調査結果として、海中設備の設置状況や劣化・異常箇所をまとめたレポートを作成し、顧客へ提供する。

  • 映像データによる海中設備の状態確認
     水中ドローンに搭載したカメラで撮影した映像データをもとに、風車水中部や海底ケーブル等の海中設備の状態を確認する。
  • イメージングソナーによる海底マッピング
     水中ドローンに搭載したイメージングソナー等による海底マッピングを行い、海底ケーブル等の海中設備の位置や状態を把握のうえ、波や潮流等による影響の有無を調査する。

※1 音波によって水中の物体や構造を可視化する装置。海中の濁りの影響を受けずに調査することが可能。