2025年10月10日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)は、経済安全保障を強化・推進する観点から支援対象とすべき先端的な重要技術の研究開発を進める「経済安全保障重要技術育成プログラム」(以下、K Program)の一環として、「小型無人機の自律制御・分散制御技術」における初期型の機体開発に着手すると発表し、委託先としてACSLを採択した。

 この事業では、インフラ点検や災害・緊急時の状況把握、要救助者の捜索活動などにおいて、複数機が連携して自律的に任務を遂行するソフトウェアを搭載した小型無人機の開発を目指す。

写真:NEDOのロゴ

 K Programは、科学技術・イノベーションが国家間の覇権争いの中核となる中、日本が技術的優位性を高め、不可欠性を確保するために創設された。内閣府や経済産業省、その他の関係府省が連携し、先端的な重要技術の研究開発から技術実証までを迅速かつ柔軟に推進する。研究基盤を強化するほか、国が強力に重要技術の研究開発を進め育成を行い、民生利用だけでなく公的利用につながる研究開発とその成果の活用を図る。

事業概要

 この事業は3つのフェーズで構成される。2024年度の第1フェーズでは、以降のフェーズで実施する機体開発の開発項目を決定し、その方向性を定めるフィジビリスタディーを行った(実施先:ACSL)。第2フェーズでは初期型の機体開発を、第3フェーズでは自律制御・分散制御ソフトウェアなどの技術を搭載した小型無人機を用いて、設定したミッションを達成する実証実験を行う。

 今回は第2フェーズとして、フィジビリティスタディーの結果を踏まえて設定した、平時・有事(大規模災害時など)における6カテゴリー(状況調査、点検、警備、捜索、測量、通信)のミッションを想定した初期型の機体開発を行う。

 具体的には、第3フェーズの機体開発で実運用可能な一定の技術レベルに到達すること、小型無人機へ搭載して実証実験を行うことを目標に、小型無人機本体の部品全般、搭載機器などを開発し、初期型小型無人機の単体試験・評価を行う。

 未知で複雑な環境で複数の小型無人機が連携し自律的に任務を遂行し、インフラ点検や緊急時の状況把握をはじめ幅広い用途で利用できるよう、高度な無人化・効率化を目指す。

実施内容・採択テーマ

事業名経済安全保障重要技術育成プログラム/小型無人機の自律制御・分散制御技術(研究開発項目(2))
採択テーマ小型無⼈機の自律制御・分散制御技術の研究開発
予算29億円
期間2025~2027年度(うち2年間)
実施予定先ACSL
「小型無人機の自律制御・分散制御技術の研究開発」実施概要
実施概要(出所:NEDO)