2025年7月30日、ジャパン・インフラ・ウェイマーク(JIW)は、日本赤外線劣化診断技術普及協会(以下、JAIRA)と共同で、米国Skydioの小型ドローン「Skydio X10」に標準搭載されたTeledyne FLIR社製の高性能赤外線カメラを用いた建築物外壁の赤外線調査の実証実験を、2024年7月と2025年1月に実施したことを発表した。

 ドローンを活用した建物点検の高度化を目的としており、赤外線サーモグラフィで取得した熱画像を用いた外壁の劣化判定や温度測定など、多様な点検ニーズに対応する。

写真:建物の近くを飛行する「Skydio X10」

 Skydio X10の赤外線カメラには「FLIR Boson+センサー」が採用されており、高精細な赤外線画像の取得に加え、放射測定(Radiometry)による温度判定も可能。実証では、赤外線サーモグラフィの性能・運用性の両面から性能検証を行い、実運用に十分適した水準であることを確認した。

 2022年の建築基準法施行規則改正により、外壁タイル等の定期調査報告の手法として「ドローンを用いた赤外線調査」が認められた。Skydio X10の自律飛行技術と高性能赤外線カメラの活用により、足場やゴンドラを必要としない非接触点検を実現することで、コストや工期の削減、安全性の向上に加え、調査の精度や再現性の確保、標準化の推進といった効果が期待される。

実証実験の概要

実施日2024年7月18日(夏季)、2025年1月31日(冬季)
使用機体Skydio X10(望遠カメラ搭載モデル、広角カメラ搭載モデル)
検証内容・FLIR Boson+による外壁の赤外線撮影(上下・水平・ジンバル方向)
・浮き・剥離の検出精度の確認
・シェーディング現象(※)の有無と画像の温度分布評価

※シェーディング現象:赤外線撮影時、画面中央と周辺部の温度分布に差が生じる現象。

JAIRAのコメント(一部抜粋)

 Skydio X10に搭載されたFLIR Boson+赤外線センサーの性能が、当協会が定める赤外線調査に用いる赤外線サーモグラフィの必要性能を満たすことを確認しました。特に、シェーディング現象が抑制された点は、小型赤外線サーモグラフィ搭載のドローンを用いた調査点検を行う上で課題解決の一助になると期待されます。

 今後、Skydio X10を活用した外壁点検サービスの展開を進めるとともに、JAIRA赤外線法の赤外線調査結果の信頼性との連携を通じて、赤外線外壁調査の標準化と普及を推進するとしている。

▼実証実験レポート(ジャパン・インフラ・ウェイマーク)
https://www.jiw.co.jp/case/detail/20250603091233.html